本記事では、LLMを活用して業務の標準作業手順書（SOP）を自動化するエージェントに関する研究を紹介します。多くの企業や組織では、業務を安定して行うために作業手順を文書化していますが、その多くは人の手で処理されています。そうした作業を人間に代わって自律的に進める方法として、LLMエージェントの仕組みが考案されました。

背景

多くの企業では、スタッフが業務を進めるとき、あらかじめ決められたルールや手順に沿って作業を行っています。このように定型化され、繰り返し行われる手順が書かれたものを「標準作業手順書（Standard Operating Procedures: SOP）」と言います。SOPは業務の効率化や品質の均一化を目的としており、多くの業界や業務分野で広く活用されています。

標準作業手順書（SOP）で定められている作業は、大きく二つのタイプに分類されます。

一つは、ユーザーや顧客との対話を通じて必要な情報を収集する「コミュニケーション型」の作業です。もう一つは、収集した情報を元に、APIなどの外部システムを使ってステータスやデータを確認する「情報確認型」の作業です。
実際の業務では、この2つの作業を交互に行いながら、問題の解決や意思決定を進めていきます。ただし、誤った情報が与えられるなどの問題が起きた際には、一つ前の手順に戻るなど柔軟な対応が求められます。

そこで今回研究者らは、これまで主に人が担ってきたこうした標準作業手順書（SOP）に基づく業務を、LLMエージェントシステムを用いて自動化する研究に取り組みました。

以下で詳しく紹介します。