本記事では、仮想通貨投資の判断をAIで支援するシステムの研究を紹介します。
仮想通貨投資では、膨大なデータの分析と深い推論が必要となるため、金融の専門家にとっても大きな負担となっています。深層学習技術を使った自動化の試みもありますが、判断の根拠が説明できないという問題があり、投資家は資金を預けることに慎重な姿勢を見せています。そんな中、LLMを活用した新しい手法が発表されました。
発表者情報
- 研究者:Yichen Luo et al.
- 研究機関:ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、南洋理工大学、エクスポネンシャル・サイエンス財団
背景
仮想通貨投資は比較的新しい分野で、株式などの従来の投資とは異なる難しさがあります。市場を分析するには、様々な種類の大量のデータを組み合わせて読み解く必要があり、金融の専門家でも大きな労力がかかります。そのため、投資のための専門サービスは数が限られており、利用料金も高くなりがちです。
深層学習技術を使えば市場分析を自動化できる可能性がありますが、なぜそのような判断に至ったのかが分かりにくいという問題があります。投資家は自分のお金を預ける際に、理由の説明できない判断には慎重にならざるを得ません。
これまで研究者たちは、仮想通貨の価格変動の仕組みを理解しようと取り組んできました。そして、ブロックチェーンのネットワーク上での活動の度合い・価格の勢い(モメンタム)・投資家の関心度などが、将来の価格変動を予測する手がかりになることが分かってきました。ニュースの論調(ポジティブかネガティブか)も、市場に大きな影響を与えることが明らかになっています。
最近では、LLMを投資に活用する研究が進んでいます。LLMは文章を理解し推論する能力が高いため、投資の判断に役立つと考えられています。ただし、1つのモデルだけでは予測の精度に限界があるため、最近は複数のモデルを組み合わせて使う方法が注目されています。例えば、あるモデルが情報を要約し、別のモデルが説明を生成し、さらに別のモデルが予測を行うといった具合です。
このような背景の中、今回研究者らは仮想通貨投資に特化した新しいシステムの開発に取り組みました。様々な種類の情報をそれぞれ専門に処理する複数のモデルを組み合わせ、協力して主要な仮想通貨への投資判断を行うという仕組みです。
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