LLMによる時系列データ分析に「ニュース情報」を混ぜるアプローチ 為替予測精度など大幅に向上

   

本記事では、時系列予測にLLMを活用した研究を紹介します。

今回研究者らは、ニュース記事などのテキストデータを予測に組み込むことに成功しました。

金融、エネルギー、パンデミック予測など幅広い分野での活用が期待される本手法は、予測精度の向上だけでなく、人間の行動や社会の変化をより正確に反映できる可能性を示しています。

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参照論文情報

  • タイトル:From News to Forecast: Integrating Event Analysis in LLM-Based Time Series Forecasting with Reflection
  • 著者:Xinlei Wang, Maike Feng, Jing Qiu, Jinjin Gu, Junhua Zhao
  • 所属:The University of Sydney, The Chinese University of Hong Kong, Shenzhen, Shenzhen Institute of Artificial Intelligence and Robotics for Society

背景

時系列予測は、経済、インフラ、社会の様々な分野における意思決定の重要な基盤とされてきました。しかし従来の予測手法は、時系列の変動が安定している場合には有効でしたが、突発的な出来事による急激な変動や異常値への対応には限界があります。また、複雑な社会的出来事と時系列データの変動との関連性を体系的に理解することも難しい課題です。

そんな中、「ニュースデータ」が予測の精度向上における可能性を秘めています。ニュースには、予期せぬ出来事、政策変更、技術の進歩、世論の変化など、数値データだけでは把握できない重要な情報が含まれています。であれば、ニュースを予測に取り入れることで、人間の行動や社会の変化をより正確に反映できると考えられます。

これまでも、金融、エネルギー、エンターテインメント、パンデミック、観光など、様々な分野でニュースなどのテキスト情報を時系列予測に活用する試みがなされてきました。しかしキーワードの出現回数を数えたり、単純な変数として扱ったりするなど、テキストの分析が表面的なものにとどまっていました。

ここでLLMが役立つときです。LLMは事前学習によって幅広い知識と推論能力を身につけており、時系列の処理や予測にも応用され始めています。

LLMを時系列分析に使う研究はいくつかありますが、主に数値の予測に使用するにとどまり、テキストデータの理解や活用という観点からの検討は十分になされていませんでした。

こうした背景から、今回研究者らは、テキストと時系列データの両方を考慮した新しい予測手法の開発に取り組むことにしました。

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