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オセロで「完璧な手を打ち続けた結果は引き分けである」ことを証明する研究が発表されました。

   

最終更新日:2023/11/07

これはコンピュータサイエンス分野での長年にわたる課題の一部解決であり進展を示しています。
ただし、本発表の解釈にあたっては注意点があります。

論文はPreferred Networksの研究者による発表です。

@ Hiroki Takizawa, “Othello is Solved”

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オセロは、約10の58乗通りのゲーム展開と約10の28乗通りの駒位置とされています。
計算で最善手を導き出し最終的にどうなるかは解明できていませんでした。

コンピュータサイエンスにおける長年の大きな課題だったと言われています。

そこでPreferred Networksの研究者は、オセロをある側面から解き明かしました。

※本投稿は論文を手短に紹介する記事です。

報告の主なポイント

① 両プレイヤーが完璧にプレイした場合、引き分けになる
② 以前の研究よりもはるかに少ない計算ステップで解くことができた
③ ソースコードがGitHubとZenodoで公開されており、再現実験はオープンにされている
④ Edaxという既存のオセロソフトを改良して研究された
(改良版もダウンロード可能)

注意点

論文では、オセロが「弱く解かれた(弱解決された)」という表現が強調されています。
「弱く解かれた」という表現は、ゲーム理論において特定のゲームの解決度合いを指す用語です。
つまり、今回の発表は、オセロの全体の流れに対して「完全な解析」が行われたわけではなく、最終的に引き分けになることだけが証明されたという内容です。
ゲームの全ての可能な局面についてシミュレーションはされていませんが、アルファベータ探索というアプローチを用いて「最良の手」を互いに出し続けると引き分けに落ち着くことだけが示されました。

※なお、「オセロ」という名前は、特定のゲーム版に対して商標登録されている名称です。同じルールを持つが商標登録されていない一般的な呼び名は「リバーシ」となります。

論文情報と関連研究

論文情報

Othello is Solved
URL:https://arxiv.org/abs/2310.19387
コード:https://github.com/eukaryo/edax-reversi-AVX-v446mod2
著者:Hiroki Takizawa
機関:Preferred Networks

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