AIが創作活動に関与することが増えてきています。特に、大規模言語モデルを活用した創作は、その可能性が広がりつつあります。
今回は、大規模言語モデルを活用して名作の新エピソードを生成するフレームワークを紹介します。このフレームワークは、元Oculusのメンバーが設立した会社「Fable Studio」が開発したものです。
参照論文情報
- タイトル:To Infinity and Beyond: SHOW-1 and Showrunner Agents in Multi-Agent Simulations
- 著者:Philipp Maas et al.
- 所属:Fable Studio
- URL:https://fablestudio.github.io/showrunner-agents/static/pdfs/To_Infinity_and_Beyond_SHOW-1_And_Showrunner_Agents_in_Multi_Agent_Simulations.pdf
- GitHub:https://fablestudio.github.io/showrunner-agents/
関連研究(大規模言語モデルを活用したフレームワーク)
- GPTがクラウドに住んで「AIモデルを選択する」自律的エッジAIシステムが登場
- 履歴書の要約に特化した自然言語処理フレームワーク、Huaweiが開発
- 大規模言語モデルを化学ツールで拡張:新フレームワーク「ChemCrow」の登場
Fable Studioが開発した新フレームワーク概要
Fable Studioは、元Oculusのメンバーによって設立された会社で、大規模言語モデルとマルチエージェントシミュレーションを組み合わせた革新的なフレームワークを開発しています。
同社のフレームワークは、既存の知的財産(IP)を活用して新たなエピソードを生成する手法を提供します。例えば完結済みの名作、日本のIPであれば「ブラックジャック」や「鉄腕アトム」などの新しい話を生成することが理論的に可能となります。
公開された論文では、海外で大人気のSouth Parkという作品の新エピソードをAIで生成したと紹介されています。
大規模言語モデルとマルチエージェントシミュレーションの組み合わせ
このフレームワークの中心的な要素は、大規模言語モデルとマルチエージェントシミュレーションの組み合わせです。
大規模言語モデルは、人間のようなテキストを生成する能力を持ち、その中でもGPT-4は、大量のデータで事前学習された性能の高いモデルです。
一方、マルチエージェントシミュレーションは、物語の進行と行動制御を担当します。このシミュレーションは、キャラクターの背景、目標、感情やイベント、場所などのデータポイントを利用して、シーンやイメージアセットをより一貫性のある形で生成します。
ショーランナーエージェント:一貫性のあるストーリーテリングを実現
このフレームワークにおける重要な役割を果たすのが「ショーランナーエージェント」です。ショーランナーエージェントは、物語の進行と行動制御を担当し、一貫性のあるストーリーテリングを行います。これは、シミュレーション上で「脚本家・監督」が機能するイメージです。
Fable Studioの目指すもの
Fable Studioの目指すものは、AIと人間の共同作業による新しいストーリーテリングの形です。大規模言語モデル、マルチエージェントシミュレーション、そしてユーザーの三者が協力し、それぞれの強みを活かして物語を生成します。このプロセスは、物語の一貫性を保ちつつ、IPの世界観に合わせた内容を生成することを可能にします。
Fable Studioの開発したこのフレームワークは、AI技術がエンターテイメント業界にもたらす可能性を示しています。既存のIPを活用した新たなエピソードの生成だけでなく、ユーザー自身がオリジナルのストーリーを生み出すことも可能になります。
フレームワークの仕組み
このフレームワークの中心的な要素は、上述の通り、大規模言語モデルとマルチエージェントシミュレーションの組み合わせです。この仕組みについて、下記でもう少し詳しく紹介します。
また記事の購読には、アカウント作成後の決済が必要です。
※ログイン/初回登録後、下記ボタンを押してください。
AIDBとは
プレミアム会員(記事の購読)について
■サポートのお願い
AIDBを便利だと思っていただけた方に、任意の金額でサポートしていただけますと幸いです。