本記事では、個人の価値観や判断傾向をAIで再現するための手法を紹介します。
単なる情報の蓄積ではなく、認知・感情・行動の観点から構造的にその人らしい思考や行動を再現しようとするアプローチです。
途中で使用するプロンプトも含め説明していきます。

背景
AIを使用する上で、「人らしさ」をどう取り入れるかは関心が強いテーマです。
とくに、ある「特定の人物の判断や価値観を引き継がせたい」というニーズは、実務でも意外とよくあります。たとえば、社長や課長、あるいは研究室の教授など、日頃から多くの意思決定を行っている人ほど、「この人ならどう考えるか」を再現したいと思われることがあるかもしれません。
LLMの活用が広がるなかで、そうした人物らしさを模倣する方法がいくつか登場してきました。あらかじめ用意したペルソナ情報をもとにキャラクターのような振る舞いをさせたりといったアプローチです。
しかし、現実の人間の価値観はずっと複雑です。文化や人生経験、信念の違いによって、同じ問いに対してまったく違う答えが返ってくるのはよくあることです。そうした個人ごとの価値観の違いを、LLMでどこまで丁寧に再現できるか。それは、人間らしいふるまいを目指すうえで避けて通れない課題のひとつです。
こうした見方をもとに、”過去の経験や属性情報から個人のストーリーを生成し、それを手がかりに価値観を再現する”新しい手法が提案されました。
なお、以前紹介した「少数の文例から文体や価値観を読み取り、プロンプトに反映する」タイプの手法は、出力スタイルの調整に強みがありました。
一方、今回の研究が扱うのは、そうしたスタイルではなく「価値判断そのもの」の再現です。たとえば、ある社会問題に対して賛成か反対か、どれくらい重視するか、といった反応の違いを、個人の背景に基づいて再現しようとしています。つまり、話し方だけでなく「何をどう考えるか」に踏み込んだシミュレーションが目的になっています。
以下で、プロンプトも含め詳しく紹介します。
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