本記事では、LLMに現実の課題を数学的に解かせるためのエージェント設計に関する研究を紹介します。
分析やレポート作成を含む複雑なプロセスを分担しながら進める構成が提案されています。評価には、実務でも参考になるような多面的な基準が取り入れられています。
業務でLLMを使った問題解決を検討している方にとって、具体的なヒントが得られる内容です。

背景
AIがますます高度な仕事を担うようになってきた今、実世界の課題をどこまで解決できるのかが問われています。計算や検索といった狭い範囲を超えて、現実の複雑な状況を理解し、全体を見通したうえで最適な判断を下す。そうした「地に足のついた知性」は、多くの現場で求められているものです。
その力を測るうえで鍵になるアプローチの一つが「数理モデリング」です。
現実の問題を数式で表現し、分析やシミュレーションを通じて、意思決定の根拠を導く手法のことを指します。
数理モデリングは、政策立案から業務改善まで幅広く使われています。交通の最適化、疫病対策、資源の配分など、多くの分野で人間が頼ってきた手段です。
LLMの性能が進化する中で、記号処理や定理証明といった純粋数学の課題ではすでに高い正答率を記録しています。しかし、現実の課題に立ち向かう段になると話は変わります。多くのLLMは「文脈から問題を読み取り、自ら仮定を置き、必要なデータを探し、柔軟に道筋を考える」といった一連の推論にはまだ十分に対応できていません。
現在使われている多くのベンチマークも、こうした「実務的な知性」を測るには不十分です。実世界の問題では、抽象的な計算だけでなく、分野横断的な視点、戦略的なツールの使い方、解釈力や創造性が問われます。ところが従来の評価指標では、これらの力が測られていないことが多く、実践的な活用に向けた指針を与えてくれません。
このような課題に応えるかたちで、「どのようにすればLLMに実世界のモデリングをやらせられるか」という観点から設計を行いました。複数の役割に分かれたLLMエージェントを協調させ、モデリングの発想、データ収集、実装、報告といった一連のプロセスを段階的に進める仕組みを検討しています。
LLMがどこまで実用的な解決策を導けるのかを問いながら、その具体的な設計方針もあわせて示す試みとなっています。
以下で詳しく紹介します。
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