【フレイル】専門家の経験則ではなくデータドリブンでAIが高齢者のフレイルを検出できるようになる

   

フレイルは、疾患の複雑さや介護負担を大幅に増大させる老年症候群として広く知られています。また、フレイルは健康な状態と不健康な状態の中間的な状態として認識されており、高齢者の健康維持を考慮する際、欠かすことができない重要な視点とされています。

さらに、フレイルは、多剤服用(ポリファーマシー)、うつ病、認知機能障害、転倒、栄養失調などの複数の状態を併存していますが、これまでフレイルの概念的および運用上の定義は一貫していません。

現在、フレイルを診断する手法として、身体的フレイルの視点からの表現型モデルと、欠損累積の理論に基づくフレイルティインデックス(FI)が有名です。このうち、欠損累積モデルは、健康に関するさまざまな領域(疾患、障害、機能評価、心理社会的観点など)の機能障害の集積を評価する手法で、評価項目数に対する累積疾患障害数の割合をFIとして表現します。

しかしながら、このFIは、専門家の推奨や意見に基づく疾患障害項目が含まれており、これまでに明らかとされていなかった疾患障害との関連性は想定されていない可能性が考えられます。

今回、台湾のLiang-Kung Chenの研究グループは、台湾の国民健康保険研究データベースを用いて、欠損累積の理論による機械学習アプローチを用いたマルチモビディティ(多疾患併在)Frailty index(ML-mFI)を報告しています。

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さて、今回紹介する研究は、

  • 「機械学習手法を用いて、多疾患併在Frailty index(ML-mFI)モデルを開発すること」
  • 第2に、「4つリスク状態(健常、軽度フレイル、中等度フレイル、重度フレイル)に分類し、グループ間を最適に識別すること」

これらを目的としたものでした。

【論文】マルチモビディティ(多疾患併在)フレイルティインデックスにおける仮説駆動型とデータ駆動型アプローチの比較:機械学習アプローチ

タイトル:
Comparisons Between Hypothesis- and Data-Driven Approaches for Multimorbidity Frailty Index: A Machine Learning Approach
掲載ジャーナル:JOURNAL OF MEDICAL INTERNET RESEARCH (J Med Internet Res 2020;22(6):e16213) doi: 10.2196/16213
著者:
Li-Ning Peng, MD, PhD; Fei-Yuan Hsiao, PhD; Wei-Ju Lee, MD, PhD; Shih-Tsung Huang, PharmD; Liang-Kung Chen, MD, PhD
掲載日:
2020年6月

約8万5千人の高齢者を対象とした調査を実施

さて、アプローチはどのようなものだったでしょうか。

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Takashi Kawagoe, Ph.D.

投稿者の過去記事

転倒予測AI・メディカルAI・医療データサイエンスを専門としています。人工知能学会、日本メディカルAI学会等所属

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