神経系の新薬開発は拓けるか(AI×医療)【論文】

   

最終更新日:2020/03/10

(Featured AI and healthcare) Predict the permeability of the blood brain barrier with deep learning! Contributing to the development of new drugs in the central nervous system (Publication)

[論文] R. Miao, L.-Y. Xia, H.-H. Chen, H.-H. Huang and Y. Liang, “Improved Classification of Blood-Brain-Barrier Drugs Using Deep Learning”. Scientific Reports, 9, 8802 (2019).

DOI: 10.1038/s41598-019-44773-4

3つのポイント

✔️血液脳関門(BBB)の透過性予測は、既存の方法では一部の化合物にしか適用できなかった。

✔️ディープラーニングを用いることで、BBB透過性の予測をより広い範囲に適用でき、精度も大幅に上げることができる。

✔️本論文で提案されている手法は、臨床試験の作業量を減らし、さらに新たな薬の開発にも貢献できると期待されている。

概説

血液脳関門(blood-brain barrier;BBB)は、中枢神経系(central nervous system;CNS)恒常性を維持するための精密な透過性障壁である。

CNS薬を判断するための最も重要な条件の1つは、それがBBB透過性を持っているかどうかを把握することだ。

過去20年間、既存の予測アプローチは通常、薬物の物理的特性と化学構造のデータに基づいている。

しかしながら、これらの方法は通常、BBBを介する受動拡散に基づく小分子化合物にしか適用できない。

この問題を解決するための最も有名な方法の一つはマルチコアSVM法であり、これはBBBの薬物浸透を予測するための薬物副作用および薬物表示に関する臨床表現型に基づいている。

本論文では、臨床表現型データに基づいて血液脳関門透過性を予測するためのディープラーニング法を提案した。

3つのデータセットの検証結果から、ディープラーニング法が他の既存の方法よりも優れたパフォーマンスを達成することが証明された。

我々の方法の平均精度は0.97に達し、AUCは0.98、そしてF1スコアは0.92に達している。

この結果は、ディープラーニング法が薬物BBB透過性の予測精度を大きく改善することができ、そしてそれは研究者の臨床試験の削減と新たなCNS薬の発見の助けとなりうることを証明した。

図1 薬物がBBBを通過するメカニズムと予測方法の適用範囲
右側は血管を表しており、これは薬物がBBBを通過するメカニズムを示している。左側の部分は脳であり、臨床薬物表現型ベースおよび化学的特徴ベースのBBB透過性予測法の範囲を示している。
マルチコアSVM法を使わない方法では適用可能な範囲が狭く、またマルチコアSVM法を使っても予測精度は0.76程度で、これは早急に改善しなければならない数値であった。この問題を、ディープラーニングを用いることで解決した。
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表1
図2
(A)データセット1における薬物副作用のROC曲線
(B)データセット1における薬物表示のROC曲線
(C)データセット1における薬物副作用(SE)+薬物表示のROC曲線
表1の右下部分および図2の青色の線がディープラーニングを用いた場合を表しており、他の方法に比べて非常に高いパフォーマンスを示している。





著者

Rui Miao (Faculty of Information Technology, Macau University of Science and Technology, Avenida Wai Long, Taipa, Macau, China)

Liang-Yong Xia (Faculty of Information Technology, Macau University of Science and Technology, Avenida Wai Long, Taipa, Macau, China)

Hao-Heng Chen (Faculty of Information Technology, Macau University of Science and Technology, Avenida Wai Long, Taipa, Macau, China)

Hai-Hui Huang (School of Information Science and Engineering, Shaoguan University, No. 288, University Road, Zhenjiang District, Shaoguan City, Guangdong Province, China)

Yong Liang (State Key Laboratory of Quality Research in Chinese Medicines, Macau University of Science and Technology, Avenida Wai Long, Taipa, Macau, China)

出版情報

Received: 7 February 2019 / Accepted: 21 May 2019 / Published: 19 June 2019

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