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Microsoftの画像セグメンテーション新技術「SEEM(Segment Everything Everywhere Model)」の凄さ、Meta AIのSAMとの違い

2023.04.19
深堀り解説

近年、画像セグメンテーション技術は、その発展に伴いさまざまな分野で活用されています(そもそもセグメンテーションとは何か?については最初のセクションで紹介します)。一方で、従来の手法では柔軟性に限界がありました。本記事では、新たな画像セグメンテーション技術「SEEM(Segment Everything Everywhere All at Once)」について、その特徴や応用事例を紹介します。

セクション数が多く長い記事に思えますが、工夫を凝らして読みやすくしていますので、ぜひお気軽にご覧ください。

目次

そもそもセグメンテーションとは

セグメンテーションとは、画像処理やコンピュータビジョンの分野で用いられる技術であり、画像内の各ピクセルに対して、それが属する物体やクラスにラベルを割り当てることを目的としています。要するに、「画像の中に何が写っているか」を認識するテクノロジーです。セグメンテーションは画像からの情報抽出や解析が容易に行えるため、さまざまなアプリケーションで利用されています。

セグメンテーションには、主に以下の2つのタイプがあります。

  1. セマンティックセグメンテーション
    セマンティックセグメンテーションでは、画像内の各ピクセルに対して、所属する物体クラス(例:人、犬、車)のラベルが割り当てられます。このタイプのセグメンテーションでは、同じクラスの物体が複数存在する場合でも、それらは区別されずに同一のラベルが割り当てられます。
  2. インスタンスセグメンテーション
    インスタンスセグメンテーションでは、画像内の各ピクセルに対して、所属する個別の物体インスタンス(例:人1、人2、犬1)のラベルが割り当てられます。このタイプのセグメンテーションでは、同じクラスの物体が複数存在する場合でも、それぞれ異なるラベルが割り当てられます。

セグメンテーション技術は、過去数十年間で大きく進化しました。古典的な画像処理手法から始まり、近年ではディープラーニングを利用した手法が主流となっています。ディープラーニングを用いたセグメンテーション手法は、高い精度で物体の境界を検出することができるため、自動運転、医療画像解析、ロボティクス、ビデオ編集など、幅広い分野で活用されています。

SEEMの概要

今回新たにMicrosoftが発表した「SEEM」は、さまざまなタイプのプロンプト(クリック、ボックス、ポリゴン、スクリブル、テキスト、参照画像など)を用いて、一つのモデルで画像セグメンテーションを行うことができる技術です。この技術は、大規模言語モデル(LLM)にインスパイアされた、ユニバーサルでインタラクティブなマルチモーダルインターフェイスを提供します。

SEEMの特徴

SEEMは以下の4つの特徴を持っています。

1. 柔軟性

SEEMは、様々なタイプのプロンプトに対応できます。これにより、クリック、ボックス、ポリゴン、スクリブル(手書による文字入力)、テキスト、参照画像など、多様なプロンプトを用いてセグメンテーションが行えます。

2. 組み合わせ性

SEEMは、プロンプトの任意の組み合わせに対応できます。これにより、ユーザーは複数のプロンプトを組み合わせて、より柔軟なセグメンテーションが可能になります。

3. インタラクティビティ

SEEMは、ユーザーとのマルチラウンドのインタラクションが可能です。セッション履歴を記憶しており、ユーザーとのやりとりを通じて、セグメンテーション結果をより精度よく行うことができます。

4. セマンティック認識

SEEMは、予測されたマスクに対してセマンティックな(意味を表す)ラベルを与えることができます。これにより、セグメンテーション結果に意味を持たせることが可能になります。

Meta AIの「SAM」とSEEMの違い

Meta AIが開発した「SAM」(Segment-As-Much)と「SEEM」の違いを以下にまとめました。
結論から言うと、SEEMはSAMよりも柔軟性が高いのが特徴です。

プロンプトの種類と対応能力

SAMは、ポイントやボックスといった限定的なインタラクションタイプに対応しています。一方、SEEMは、クリック、ボックス、ポリゴン、スクリブル、テキスト、参照画像といったさまざまなプロンプトに対応しており、プロンプトの組み合わせやカスタムプロンプトも扱うことができます。

セマンティックな出力

SAMは、セグメンテーションのマスクを生成することができますが、セマンティックなラベルは出力しません。それに対して、SEEMはセグメンテーションのマスクだけでなく、セマンティックなラベルも出力することができます。

インタラクションの幅

SEEMは、より幅広いインタラクションレベルに対応しており、マルチラウンドの対話も可能です。これは、SEEMが一貫したプロンプトエンコーダを持っているためで、視覚的および言語的プロンプトを統合した表現空間にエンコードすることができます。そのため、より汎用的な用途に対応し、カスタムプロンプトへの拡張が可能です。

グランディング・セグメンテーション(テキストからのマスク生成)

SEEMは、テキスト入力からマスクを生成することができるため、ユーザーとのマルチモーダルなインタラクションが可能です。これにより、より高度なセマンティックな認識を持つ予測を出力できます。

SEEMの仕組み概要と実験

仕組み概要

SEEMは、一貫したプロンプトエンコーダを持っており、視覚的および言語的プロンプトを統合した表現空間にエンコードすることができます。このプロンプトエンコーダは、異なるタイプのプロンプトを効率的に処理し、セグメンテーションタスクに適用できるように設計されています。

SEEMは、画像やテキスト入力をエンコードし、デコーダに渡すことでセグメンテーションマスクとセマンティックラベルを生成します。このプロセスは、エンドツーエンドで学習され、異なるタイプのプロンプトに適応できるようになっています。

実験

SEEMの有効性を検証するために、複数の実験が行われました。実験により、さまざまなタイプのプロンプト(クリック、ボックス、ポリゴン、スクリブル、テキスト、参照画像)を用いて、様々なシナリオでのセグメンテーション性能が評価されています。

  1. クリックやスクリブルからのマスク生成:
    ユーザーが画像上でクリックやスクリブルを行うことで、SEEMはマスクと対応するカテゴリラベルを生成します。
  2. テキストからのマスク生成:
    ユーザーがテキスト入力を行うことで、SEEMはマスクと対応するカテゴリラベルを生成します。
  3. 参照画像からのマスク生成:
    ユーザーが参照画像上でクリックやスクリブルを行うことで、SEEMはターゲット画像上で同じセマンティクスを持つオブジェクトのマスクを生成します。
  4. ビデオマスク生成:
    SEEMは、ビデオデータの学習が不要でありながら、ユーザーが指定したクエリを用いてビデオのセグメンテーションを行うことができます。

これらの実験により、SEEMが異なるタイプのプロンプトに対応し、高いセグメンテーション性能を発揮することが示されています。また、SEEMの拡張性により、さらに多様な応用分野が開拓されることが期待されています。

SEEMの応用アイデア

下記の応用分野において、SEEMは、高いセグメンテーション性能と多様な応用性を発揮すると考えられています。今後、さらに多くの分野でSEEMが活用されることが期待されており、コンピュータビジョンの分野において大きなインパクトを与えると考えられます。

1. 医療画像解析

例えば、医療画像解析では、専門家が画像上でクリックやスクリブルを行うことで、異常領域のセグメンテーションが容易になります。これにより、病変の診断や治療計画の立案が効率化されるでしょう。

2. 自動運転技術

また、自動運転技術においても、SEEMは道路上の物体(車両、歩行者、障害物など)のセグメンテーションを高精度で行うことができます。これにより、自動運転システムが環境をより正確に理解し、安全な運転を実現することが期待されます。

3. 農業分野

さらに、農業分野では、ドローンからの画像データを用いて、SEEMを使って作物の状態や病害虫の検出を行うことができます。この技術により、農作業の効率化や収穫量の最適化が実現されるでしょう。

4. 遠隔教育やオンラインイベント

最後に、遠隔教育やオンラインイベントにおいて、SEEMは参加者の姿勢や手の動きをリアルタイムでセグメンテーションし、それらのデータを用いてインタラクティブなコンテンツを生成することができます。これにより、オンラインでの教育やイベントがより効果的に行われることが期待されます。

まとめ

SEEMは、多様なプロンプトやインタラクションを用いて、効率的かつ高精度な画像セグメンテーションを実現する技術です。従来の手法に比べて柔軟性が高く、さまざまな応用分野での活用が見込まれます。また、今後この技術はさらに進化していくことも期待されます。

参照論文情報

GitHub:https://github.com/UX-Decoder/Segment-Everything-Everywhere-All-At-Once

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