
AIを理由にした人員削減のニュースを、以前よりずっと頻繁に見かけるようになりました。業界も職種も一つに限られません。削減を発表する経営者の中には、「近いうちに、ほとんどの企業が同じ判断をするはずだ」と語る人もいます。
ただ、ここで素朴な疑問が出てきます。職を失った人は、同時にどこかの企業の顧客でもあります。賃金が消えれば、その人の購買力も弱まり、企業が頼りにしている需要も少しずつ削られていきます。すべての企業が人をAIに置き換えた先にあるのは、極端に言えば「生産性は高いのに、買う人がいない」世界かもしれません。
もしその崖が見えているなら、先を読める企業ほど慎重になるのではないか。そう考えたくなります。ところが現実には、多くの企業がその崖に向かって走っているようにも見えます。なぜ止まれないのか。止めるとすれば、どんな仕組みが必要なのか。この記事では、その問いを扱った経済モデルを手がかりに、AI時代の自動化が抱える見落とされがちな落とし穴を読み解きます。