MITの研究者がAIで如何にして医薬品承認を促進させたか !?

   

最終更新日:2019/10/31

マサチューセッツ工科大学研究者によれば、機械学習は、精密医療の正確性を向上すべく、ヘルスケア領域に急速に適応されており、また、機械学習はランダムに行われる医療臨床試験を改善することにより、新しい医薬療法や医療機器の開発に役立てることも可能だ。

臨床×機械学習

研究者らは、医薬品が承認される可能性について適切に予測するため、機械学習や統計的手法を用いて医療臨床試験結果のデータの質を高める必要があった。

研究者らは、2つの非公開医薬主要情報データベースから最大量のデータを用いた。

この調査結果は、Harvard Data Science Reviewの初刊号に掲載された。

リスクを最小限に抑えた医療臨床試験は、医薬品などの資源を効率的に活用することを可能とし、失敗を抑え、医薬品の承認を更に早急化させ、費用を抑えることで、新しいセラピー療法の開発に資金を回すことも可能とした。

「多くの研究者が、医薬品の医療臨床試験段階での失敗リスクから大きな影響を受けている。」と、研究リーダーであり、マサチューセッツ工科大学金融工学研究所理事長のアンドリュー・ロー氏は記事で述べている。

「更に正確な医薬品および機器開発のリスク測定により、生体医学への効果的な投資を促進していきたいと考えています。」

投資家、科学者、臨床医、生体医学専門家への医薬品臨床試験の成功の可能性についての情報のみでなく、機械学習科学も、政策決定者にとっても有益なものとなる。

「政策決定者や規制当局にとっても、機械学習の予測値は有益なものとなり、とりわけ高い確率で失敗することが予測できる医薬品表示の組み合わせなどがそれにあたります—このような実例は、生体医学において最も困難な挑戦に注目を集め、そしてより強固な管理と社会公的支援の必要性を強調することとなります。」とロー理事は綴った。

ロー理事と研究者チームは、機械学習と統計的手法を用いて、不足している値と他のモデル値を推定し、より正確な予想から、不足しているデータを補った。

データの組み合わせは多くの場合、組み合わせ交換の機密性を保持したいという意思や、単純に追加のデータを追加する付加価値がないといった理由から、データが不足したままであることが多くあります、と著者は記している。

これまでの全ての医薬品開発データは、完全なデータではない一方で、ほとんどの研究はその事実について触れてはいない。

予測アルゴリズムの力

「これはまるで、(医薬品の開発結果は)歴史的な競馬の勝敗の結果を振り返って、情報に不足があるというハンディキャップのある状態で、どの馬が優勝するのかを馬の血統や実績、気質などの複数の要因から、予測した勝ち敗けの差と同じようなものである」とロー理事は述べた。

6つの全てのマサチューセッツ工科大学機械学習アルゴリズムにおいて、データ補完に最高位レベルのデータを使用したモデルは、完結した事例の分析と、導入された反論を凌ぐ結果をみせ、第2段階の承認の試行では0.78AUC予測推移を達成し、第3段階においては、0.81AUCの予測推移を達成した。

「これらの結果は、確信の持てるものであり、更に質の高いデータを利用し、より強力な医薬品開発予測モデルの可能性を更に高めるものである。」とロー理事たちは結論付けた。

AUC(Area under the curve)
ROC曲線を作成したときに、グラフの曲線より下の部分をAUCという。0〜1までの値をとり、値が1に近いほど判別能が高いことを示す。

原文
https://www.aiin.healthcare/topics/research/how-mit-researchers-used-ai-improve-drug-approvals




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