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ChatGPTは学術論文の文章スタイルをどう変えているか?大規模な調査の結果

   

今回研究者らは、ChatGPTが学術論文のアブストラクトにどのような影響を与えているかを明らかにしようと試みました。

2018年5月から2024年1月にかけてarXivに提出された約100万件の論文のアブストラクトを分析し、言葉の使用頻度の変化を統計的に評価した結果、ChatGPTがアブストラクトの書き方(言葉のチョイスなど)に影響を及ぼしていることが定量的に示されています。平たい言い方をすれば、論文(のアブストラクト)を書く際にLLMが広く使用されるようになってきたという状況です。

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参照論文情報

  • タイトル:Is ChatGPT Transforming Academics’ Writing Style?
  • 著者:Mingmeng Geng, Roberto Trotta
  • 所属:Scuola Internazionale Superiore di Studi Avanzati (SISSA), Imperial College London

研究の背景

2022年11月30日に正式にリリースされたChatGPTは、わずか3カ月で前例のない1億人のアクティブユーザーを獲得し、人々の生活に影響を与えています。

学術分野も例外ではありません。ポジティブな側面としては、ChatGPTは科学的発見を後押しし、生産性を向上させる可能性が見出されています。その一方で、潜在的なリスクや悪影響にも注意が必要だと考えられています。

アカデミアにおけるChatGPTの影響に関する研究はすでにありますが、その影響を定量化しようとした研究はごくわずかです。その中でもカンファレンスのピアレビューや、科学論文の分析などが行われていますが、それら先行研究では、ChatGPTの影響は「コンピュータサイエンスの分野で明らかである」と主張されています。

学術論文でChatGPTが使用される背景には何があるでしょうか?一つは、論文で使用される言語です。英語で読み書きすることは、英語を母国語としない研究者にとって障壁のひとつです。ChatGPTがリリースされる前は、Google翻訳やGrammarlyなどが注目されてきましたが、今ではChatGPTの対応力が群を抜いている状態です。

囲碁の世界で、「AlphaGo」の登場後、プロ棋士がAIと対局する大きな流れが出来たのと同様に、学術論文の執筆においても、(特に英語が母国語ではない研究者の間で)ChatGPTの利用が広がっている可能性があります。

今回、研究グループは、ChatGPTが学術論文、特にアブストラクトの文章に与える影響を統計的に分析することにしました。アブストラクトは分野を問わず(比較的)統一された形式を持ち、洗練された表現が使用されるため、分析の対象として適切であると考えられました。

この研究は、ChatGPTが学術論文の執筆スタイルに実際に影響を与えているかどうかを確認する試みとして、大きな意義がある取り組みと言えます。

なお、複数のLLMの長所と短所を探る研究も多いですが、今回はChatGPTのみに焦点が当てられています。

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