最終更新日:2019/10/31
中国の研究者が、小児の一般的な病気を予測するAIアルゴリズムを開発した。
インプットが必要なのは、以下の情報のみだという。
・電子健康記録(EHR)
・その中の医師のメモ
フリーテキスト(手書きのメモ)を処理して、診断まで行なってしまうAIの登場というわけだ。
電子健康記録(EHR)とは:
電子カルテを中心とした医療情報をネットワークを通じ複数の医療機関で情報共有する仕組み。かかりつけ医にしかなかった患者個人の医療情報をどの医療機関でも見られるようになり、全国どこにいても現病歴や既往症に応じた、無駄のない医療サービスが受けられることを目指している仕組み。
その開発についてはNatureで発表された。
開発リーダーのカリフォルニア大学Kang Zhang博士は、
「機械学習分類器(MLC)はすでに画像ベースの診断で高いパフォーマンスを示していますが、多様で膨大なEHRデータの分析は依然として困難です。」
と述べている。それをやってのけた。
超膨大データでAI鍛えた
今回の開発においては、
130万人の小児患者の訪問から得られる
1億1000万を超えるデータポイント(EHRと手書きのメモ)
を分析した。
しかしその結果、
・喘息
・細菌性髄膜炎
・水痘
・インフルエンザ
・単核球症
・ロセオラ
その他いくつかの疾患を高精度で診断できるようになった。
命にかかわる病気も含まれていることもわかると思う。
どのくらい高精度だったか?
それは経験豊富な小児科医に匹敵するほどの高精度だった:
胃腸疾患 85%
精神神経疾患 98%
感染性単核球症 90%
インフルエンザ 94%
水痘 93%
手足口病 97%
細菌性髄膜炎 93%
どんなときに役立つか?
それは以下のような場面だろうとされる。
・緊急治療環境でのトリアージ
トリアージとは:
患者の重症度に基づいて、治療の優先度を決定して選別を行うこと。(出典:Wikipedia)
・複雑な症状をみせる患者の診断
・珍しい症状をみせる患者の診断
生身の医師が客観的な大量のデータをもとに診断をくだせるわけではない。不確実性の高い、複雑な臨床においてAIが人間の医師を助けられるだろう。
AIによって小児患者を助ける流れが大きくなりつつある。
最近カリフォルニアのAIヘルスケア企業のPr3ventがシリーズAの資金調達ラウンドを終了した。
彼らの技術は、赤ちゃんの網膜の画像を使用して異常を検出し、新生児の予防可能な視力喪失を早期に検出するためのこの種の最初の診断スクリーニングツールだという。
我々や我々の子孫がより健康的に幸せに生きていける時代が、すぐそこにあるかもしれない。
原文
https://www.aiin.healthcare/topics/diagnostics/ai-predicts-childhood-ailments-better-physicians
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