最終更新日:2019/10/31
研究者たちは、投薬治療中のパーキンソン病患者の薬に対する反応を、遠隔チェック可能なアルゴリズムを開発した。
これのすごいところは、病院から遠く離れた自宅でパソコンをタイピングしている患者の様子を病院で勤務中の臨床医がみることができるところだ。
どのように開発された技術か?
この発表論文の筆頭著者である、ブリティッシュコロンビア大学のミシェル・マタラッツォ医学博士とスペインチームは、6月18日にオンラインジャーナルMovement Disordersで、自身の研究について説明した。
チームは、最近パーキンソン病と診断された31人が、24週間に渡るドーパミン作動薬の投薬治療を開始した際、彼らのパソコンタイピングパターンを遠隔でモニタリングした。
それと同時に、先述の31人と同様にパーキンソン病と診断されたが薬を処方されなかった同年代30人を対象とし、平行して観察を行った。
そのタイピングデータをもとにマタラッツォ博士らが作り出したもの。それが、薬の影響を検出する手助けとなる、再起的ニューラルネットワークに基づいた新しいアルゴリズムなのである。
彼らはさらに、プロジェクト開始半年後に控えていた最終臨床結果発表の21週間も前に、自身の作成したアルゴリズムが叩きだす治療効果予測の正確性を追加調査した。
自身の臨床基準を、パーキンソン病の重症度を診断するための一般的な基準として設定したが、チームはアルゴリズムがその尺度とある程度しか一致しかないことを発見した。
しかし、最終来診時にレスポンダー(バイタルサインが安定している患者)として分類された研究参加者(投薬を受けた集団)は、尺度での評価が安定している参加者と比較して、アルゴリズムでより高いスコアを示した。
研究者の声
「この予備調査では、非監視下つまり遠隔で収集されたタイピングデータによって、パーキンソン病における薬物反応の正確な検出と予測が可能になることが示唆されています」
と著者らは結論付ける。
近年における、AIや関連技術の進歩は、「パーキンソン病(PD)患者の運動機能を遠隔で診断する機会を増やす役割をしている」
「患者が家にいたとしても、彼らが電子機器に入力をする(つまりタイピングする)と、パーキンソン病の特徴や薬物療法への反応を客観的かつ控えめにモニタリングすることが可能になります。」
というのが、彼らのコメントだ。
原文
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