プロンプトの原則26ヶ条をまとめた論文が公開されています。
LLaMA-1/2, GPT-3.5/4を使用してスケール評価をした結果、これらの原則が応答品質を向上させると確認できているとのことです。
本記事では、詳細を見ていきます。
参照論文情報
- タイトル:Principled Instructions Are All You Need for Questioning LLaMA-1/2, GPT-3.5/4
- 著者:Sondos Mahmoud Bsharat, Aidar Myrzakhan, Zhiqiang Shen
- 所属:VILA Lab, Mohamed bin Zayed University of AI
- URL:https://doi.org/10.48550/arXiv.2312.16171
- GitHub:https://github.com/VILA-Lab/ATLAS
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研究背景
現代のAI技術は多岐にわたる分野での応用が進展しています。その中で、LLMを有効に活用するためにはまだ解決すべき課題が残っています。多くのユーザーにとって、LLMにどう質問するか、どのようにプロンプトを設計するかは、まだまだ明確ではありません。
そこで研究者たちはプロンプトの最適化、つまり「プロンプトエンジニアリング」に注目しています。LLMの応答品質を向上させるために、特定のタスクに合わせた適切な指示を設計する技術です。
研究者らは網羅的な調査を通して、LLMとユーザーのやり取りを改善する原則を作成しました。モデルの機能を最大限に引き出すことを目指しています。
本記事の関連研究:「自分を信じて限界を超えてください」など感情をグッと込めた指示プロンプトが添えられると、ChatGPTなどのLLMのパフォーマンスは向上する
原則の概要
LLMの応答の品質は、ユーザープロンプトの質と直結しています。LLMに適切に反応させるためには、あらかじめしっかりプロンプトを設計することが重要だと考えられています。
本研究では、効果的なコミュニケーションを促進するための26の原則を提案しています。
簡潔で明確なプロンプト設計、文脈に即した内容、タスクに沿ったアライメント、具体例の提示、バイアスの回避などが、高品質な応答を促すための原則として重視されています。
ただしプロンプトの設計は進化し続ける分野であり、今後も改善され拡張される見込みです。
なお下の図は、原則を適用する前と後のプロンプトの例と、それに対するLLMの応答を示しています。以下で説明する原則5と原則6を適用した例です。
原則一覧(カテゴリー別)
下の表は本論文で提供された、プロンプト設計における原則26ヶ条です。これらが5つのカテゴリーで分類されますので、記事でははじめからカテゴリー別で紹介します。
1. 構造と明確さに関する原則
原則2: オーディエンスを定義する
モデルの出力を受け取る対象が、どんなフィールドの専門家であるかという点をプロンプトに組み込むことが推奨されています。
原則4: 肯定的な表現を使用する
肯定的な行動を促す指示を使用し(do)、否定的な言葉遣い(don’t)を避けましょう。
例えば、「汚い言葉遣いをしないでください」ではなく「綺麗な言葉遣いをしてください」などです。
原則12: 中間ステップを導入する
「ステップバイステップで考える」などの言葉を使って出力の段階を作りましょう。
原則20: 出力プライマーを使用する
出力してほしい内容が自然と出てくるようなテキスト(期待する出力内容の最初の方)を、プロンプトの最後に添えます。
例えば、「〜〜のポイントを日本語で教えてください。 まず最も言いたいことは次のとおりです:」など
原則17: 区切り文字の使用
区切り文字を使用してプロンプト内の情報を整理します。
原則8: プロンプトのフォーマットを作る
プロンプトを構成する際は、「####Instruction####」で始め、必要に応じて「####Example####」や「####Question####」を追加します。
2. 情報に関する原則
原則7: 事例の導入をする
少数の事例を用いたプロンプトを作成すると、モデルがタスクを理解しやすくなります。
原則5: シンプルな説明を促す
トピックやアイデアについて明確さや深い理解が求められる場合、まずは易しい説明を求めるプロンプトを活用するのも有用です。
例えば、以下のような形式です。
- 〜〜を簡単な言葉で説明してください。
- 私が11歳の子供のようなら、どう説明しますか?
- 〜〜の初心者になったとして、どう説明しますか?
- 5歳の子供に何かを説明するように、シンプルな言葉で〜〜を書いてください。
原則13: バイアスのない応答を促す
プロンプトに「回答は偏見に基づいていないこと、固定観念に依存しないこと」などを含めます。
下の図は、プロンプトに原則13を適用することで、LLMの応答がより中立的な内容になることを示しています。
原則26: 類似テキストでは同じ言語を使用させる
例と似たエッセイやパラグラフなどを書かせる際は、同じ言語を使用するよう指示します。
原則24: 特定の言葉を指定する
出力に使用してほしいテキストを指定することも可能です。
例えば、「”〜〜〜”で開始する形でコンテンツを完成させてください。一貫性は保ってください」
原則25: 従うべき要件を提示する
モデルがコンテンツを生成するために従うべき要件を、キーワードや規則として明確に提示しましょう。
原則15: テストを出させる
特定のトピックについて質問させて、自らの理解度をチェックすることも可能です。
例えば、「〜〜について教えてください。その後、テストを出してください。答えは書かないでください。私が回答するので、正解/不正解を告げてください。」
原則21: 詳細なテキストを作成させる
詳細が必要なエッセイ、テキスト、パラグラフを書く際には、「必要な全ての情報を加えて、詳しく〜〜について書いてください」などと指示します。
3. ユーザーの対話と関与に関する原則
原則14: モデルから質問させる
モデルからユーザーに対して質問を繰り返し行わせ、必要な出力を提供するのに十分な情報をモデルが収集できるようにしてみてください。
原則21: 詳細なテキストを作成させる
(先ほどと同じ内容)
4. 内容と言語スタイルに関する原則
原則22:
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