最終更新日:2020/07/06
ニューラルポケット株式会社取締役CTO(最高技術責任者)佐々木雄一さんが、AIの社会実装を進めるための技術的ポイントについて解説しました。以下では、内容の中で特に印象的だった部分を取り上げ、要約してお伝えします。
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この記事は、日本ディープラーニング協会が実施するCDLE勉強会の第三回目のサマリーです。 CDLE (Community of Deep Learning Evangelists)とは、日本ディープラーニング協会が実施するG検定およびE資格の合格者が参加するコミュニティです。
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AI画像認識でスマートシティ開発に取り組む
まずは、登壇者である佐々木さんの説明をもとに、ニューラルポケット株式会社の概略をおさらいしましょう。
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ニューラルポケット株式会社は、2018年に設立された企業で、AIによる画像認識を駆使して様々な事業を展開しています。
例えば、最新のAI画像解析技術を活用して、来店・人流分析や広告配信をサービスとして提供するデジタルサイネージ、駐車場の空きを見渡せるスマートパーキング、AI搭載ドライブレコーダーである「スマートくん」の開発などがあります。
これらの開発を通して、街のデジタル化を目指したスマートシティの開発を進めている、東南アジアへの進出も活発な企業です。
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では、これらのサービスの開発を通じて得られた知見を基にした、AIの産業応用へ向けた技術ポイントについての佐々木さんの解説です。大きく分けて2つのポイントがあります。
技術的ポイントは2つ
職人芸から体系化されたモデルの構築へ
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従来より、職人芸的なチューニングやモデルの作り込みで精度を高めていましたが、これからは、モデルの精度向上のための体系化された手法の実践が重要になります。
特に、AI画像認識の産業応用については、モデルの作り込みは費用対効果が低いと考えられます。そのため、精度を上げるためには学習データの作成に注力することが最も重要です。しかし、オープンにされているデータセットでも不正確なアノテーションが多いこともあります。今後は、学習データ作成を主導できるようにアノテーションにおけるノウハウを企業内で体系化することでAIの産業応用が可能になるでしょう。
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ハードウェアによる制約を考慮すべき
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次に、プロダクトを作る上では、ハードウェア開発から取り組み、各種制約/自由度の中で、全体としての最適化を図る必要があります。
というのも、ディープラーニングを用いたプロダクトを作るには、メモリやFPS、温度などハードウェアの性能は無視できず、モデルの選定はハードウェアの制約によって決まる部分が大きいのが事実です。実際に、モデルの精度が同程度であって、計算速度が大きく異なることもあります。また、センサの性能をどこまで求めるかというのも精度に大きな影響を与えると考えられます。そのため、産業応用する上では、ディープラーニングエンジニアであってもハードウェアによる制約を考慮してモデルの作成に取り組むことが重要になるでしょう。
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