この記事は、日本ディープラーニング協会が実施するG検定およびE資格の合格者向けの勉強会「CDLE勉強会」の第二回目のサマリーです。
ABEJA代表取締役社長CEO 兼 共同創業者 日本ディープラーニング協会理事 岡田陽介さんが登壇者となり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の中でAIが実現するプロセス革命について解説しました。以下では、内容の中で特に印象的だった部分を取り上げ、要約してお伝えします。
CDLE (Community of Deep Learning Evangelists):日本ディープラーニング協会が実施するG検定およびE資格の合格者が参加するコミュニティ
まずは、登壇者である岡田さんの説明をもとに、飛ぶ鳥を落とす勢いのベンチャー企業であるABEJAの概略をおさらいしましょう。
ABEJA設立から8年の概略
2012年設立
2015年世界初小売業向けDeepLearningベース SaaSの提供開始
2017年国内初Nvidiaとの資本業務提携契約
2018年国内初Googleとの資本業務提携契約
2019年米シリコンバレーに現地法人を設立
では、産業界の現状に合わせて「今後、AIで実現できること」についての岡田さんの説明です。まずはディープラーニングの活用が盛んな画像認識と自然言語処理について。
「質の良いデータの収集が肝」
画像認識(CV)については、2012年に登場したAlexNet、更にResNet、EfficientNetの登場によりAIは「目の獲得」に成功しました。また、自然言語処理は、2018年に登場したBERT、更にMT-DNN、T5の登場により目覚ましい進歩を遂げています。
様々なブレイクスルーが起きており、画像認識領域に続き、自然言語処理の領域でもAIが人間に匹敵する力を持つ日もそう遠くないと思います。
良質なAIモデルをつくるためには、質の高いデータを一定量集めることが極めて重要です。
しかし、現実空間の情報をサイバー空間のデータに変換することができていない企業が多く、それがAI導入のボトルネックとなっています。
参考▶︎【今週の5本】製造業を変える「機械の目」AI(2020年4月第3週版)
「いきなりは不可能」
よくある勘違いですが、人間がやっている作業をいきなりAIに置き換えることは不可能です。
まずAIを導入するためには、カメラやセンサーなどのIoTデバイスを使い、現実世界の業務をデジタルデータに変換します。そこで収集したデータを使い、モデル開発を行います。ある程度の精度のAIができたら、人間がAIの精度を補いながら、運用をスタートすることをABEJAでは推奨しています。それまでアナログ空間で行われていた業務をサイバー空間で人間とAIが協力して運用しながら、データを取得するのです。こうして、AIの学習に必要なデータを蓄積、そのデータを再学習に回す、ということを繰り返すのです。これだけでモデルの精度が100%になるわけではありませんが、こうした継続的な改善サイクルを回すことで、AIによる運用自動化に近づいていくことができます。
参考▶︎「スマート工場」知っておくべき研究トレンド(AI×製造)【論文】
AIを継続的に改善する仕組み作りとは?
先ほど、人間がAIの精度を補いながら段階的にAI活用をするプロセスについてお話しをしました。ABEJA Platformは、モデルの学習から運用、再学習まで一貫して支援をするプラットフォームです。こうしたツールを業務プロセスの一部に組み込むことで、企業で継続的に機械学習を活用し続けることができるようになります。
ABEJA Platformの導入によって、従来と比べて比の10分の1にコスト削減を可能にした例もあります。
以上が、ABEJA代表取締役社長兼CEOでありJDLA理事でもある岡田さんのお話の一部でした。
今回の話は、DX(デジタルトランスフォーメーション)という大きな枠組みの中でAIがどんな役割を担っているのか、またどのように活用をするべきなのか知る上でとても有意義でした。
JDLA主催の勉強会サマリーレポート、バックナンバーはこちら。
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