テキサス大学の研究者らによる報告です。 機械学習モデルに音声を分析させることで、性格特性ビッグ5(外向性・協調性・誠実性・開放性・神経症的傾向)を予測できることが示唆されました。
参照論文情報
- タイトル:Evaluating voice samples as a potential source of information about personality
- 著者:Zachariah N.K. Marrero, Samuel D. Gosling, James W. Pennebaker, Gabriella M. Harari
- URL:10.1016/j.actpsy.2022.103740
性格特性ビッグ5とは
ビッグ5(ビッグファイブ)とは、以下5つの因子によって人の性格が構成されるという学説です。
- 外向性
- 協調性
- 開放性
- 誠実性
- 神経症的傾向
「外向性」は社交性、「協調性」は優しさ、「開放性」は創造性や計画性、「誠実性」は思慮深さ、「神経症的傾向」は悲しみや情緒不安定性を伴います。
ビッグ5理論の背景には歴史があります。「人の性格にはいくつの形質が存在するか」を突き止めようとする試みは長い間行われ、例えばゴードン・オールポートによって4,000の性格特性、レイモンド・キャッテルによって16の性格要素、ハンス・アイゼンクによって3 要素理論が提唱されてきました。その後「ビッグ5」が登場し、複雑過ぎず、簡易過ぎることもない点などから支持されていきました。
5つの性格特性それぞれが、両極端の間を表していることに注意しましょう。たとえば「外向性」は極端な外向性と極端な内向性の間のどこにいるのかを表しており、現実の世界ではほとんどの人が中間のどこかにいるのです。
音声データに含まれる特徴を分析
性格特性を分析する上で、人々はある壁にあたっています。それは、自己報告に頼っているという状況です。自己報告には本人のバイアスがかかっており、その点を克服する方法が模索されています。
テキサス大学のMarrero, Zachariah N.K.ら研究グループは、人の音声には心理に関連する特徴が多く含まれていることに注目し、音声を機械学習で分析することで性格を予測する取り組みを行いました。
研究グループはまず、テキサス大学の学生992人から「最近の活動」「思考」「感情」「行動」に関する回答を音声ベースで集めました。
集まった音声サンプル数は合計25,163件で平均21.32秒でした。
参加者の学生は、60項目からなるビッグ5調査に協力しました。さらに(表題には挙げていませんが)、参加者の学生はうつ病のスクリーニングテストも受けました。
分析に必要な最低限の単語数を含む音声データ(平均50.74秒)のみが選ばれ、機械学習用に前処理されました。言語の側面での前処理にはLIWC2015、音の側面での前処理にはpyAudioAnalysisというアプリケーションが使用されました。
研究者らは上記の前処理済み音声データから、性格特性5つに加えて、うつ病の有無、年齢、性別を予測しようとしました。予測に使用したのはXGBoostという機械学習アルゴリズムです。
性格特性をAI予測 実験で有意な結果
音声データから言語的および音的特徴を抽出した情報を機械学習アルゴリズムによって分析したところ、
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