最新研究をサクっとキャッチアップできる「今週の5本」シリーズ。今週のメディカルAI編では、以下の5つの最新研究に注目していきます!
医師であり手術支援AI開発企業のCEOである、河野健一先生からのコメント付き!(バックナンバーはこちら)
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今週のラインナップ
1. インプラント治療を助けるAI
2. 3D顔写真から睡眠時無呼吸が分かる!?
3. 大腸画像からAIがポリープを発見
4. 分かりにくい腎細胞がんをAIが区別
5. 生物学画像の解析技術が向上
インプラント治療を助けるAI
インプラントを骨に打ち込む時に歯科医師が最も気をつけるのは、下顎管の位置です。ここには唇や粘膜につながる神経が走っており、傷つけてしまうと感覚異常が起こります。しかし、現在使われている装置では手動で位置を測定するため、手間と時間がかかり、ミスが起こりやすいという問題があります。
そこでフィンランド人工知能センターの研究者らのチームは、637枚のCBCTスキャンのデータを深層学習させることにより、下顎管の正確な位置を自動で特定できるモデル開発しました。このモデルは、骨粗鬆症などの疾患がない健康な人においては、専門医と同等なレベルで正確に判断することができました。このAIは医師の仕事の効率化をサポートし、より難しい症例に集中して取り組む時間を与えるでしょう。
歯科の分野は分かりませんが、原著の画像を見ると興味深い技術ですね。この技術を臨床現場に導入しようとした場合、私であれば以下のことを行うと思います。
まず、歯科医師3人くらいにインタビューします。インプラント治療についての概要を聞き、この神経を特定する現在使用している装置についての課題を聞きます。その上で、この技術が出てくると、どのくらい役に立ちそうか、現場でどのように使われそうか、現在の装置の代替になりそうか、などについて質問します。そうすると、現場に導入する際の課題が明確になります。
例えば、CBCT(cone-beam computed tomography)はCTの一種ですが、日本では歯科においてCTの使用は保険外診療になるため、一部の施設にしか導入されていません。そのため、この技術を導入する可能性があるのはCTを既に導入している施設に限られます。更に、私の頭部のCBCTの経験で言えば、見たい断面を手動で調整する必要があります。それに対応できるようにしなければなりません。医療現場に導入するためにはこのようなハードルをひとつひとつ超えていくことが必要です。
フィンランドは政府のバックアップが手厚く、医工連携が非常に進んでいる聞いたことがありますので、実際にはこのようなことを並行して行っていると思います。現場に寄り添ったプロダクトがでることを期待したいですね。
ソース:AI makes dentists’ work easier – new model helps localise the mandibular canals
☆歯科×AIの研究者の話も聞いてみましょう!
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