最終更新日:2019/12/26
ネットで偽の画像がバラまかれたら?
人の顔写真から「ゴッホ風」の絵まで――
近年のAIは、実物と見分けがつかないほどリアルな画像を生成できるようになった。AIによる画像生成技術は、有用なクリエイティブ制作の新たな手法である一方で、悪用されるリスクもある。たとえば、元々の画像に改ざんを加えてネットで拡散するような悪さも出来てしまうのだ。
中国にあるNational Pingtung UniversityのChih-Chungら研究者は、敵対的生成ネットワーク(GANs)によって生成された改ざん画像に対して、従来の特定器では歯が立たないことに着目し、ディープラーニングベースのcontrastive lossを組み合わせたアプローチを用いることで、改ざん画像発見器の開発を試みた。結果、従来の特定器では特定不可能だった改ざん画像まで精度高く特定することが可能になった。
改ざん画像特定において、圧倒的性能をもつ特定器の開発に成功
Chih-Chungら研究のポイントは以下の通りだ。
✔️ミッション ✔️解決手法 ✔️結果 |
その詳細を以下で述べる。
画像の改ざんを見逃すな
近年、教師なし学習アルゴリズムの一種である敵対的生成ネットワーク(GANs)により、写真のようなリアルな描写の画像をランダムな低次元ノイズから生成できるようになった。
統合または生成された画像が、ソーシャルネットワークメディア上で不適切に使用されると大変危険な結果を招くと考えられる。そのような改ざん画像を特定するために効果的で効率的な改ざん画像特定器の開発が望まれている。
しかし、従来の改ざん画像特定器では、GAN生成器によって生成/統合された画像を見分けることができない。この状況に着目したChih-Chungら研究者は、ディープラーニングベースのcontrastive lossを組み合わせたアプローチを用いることで、改ざん画像発見器の開発を試みた。
改ざん画像をいかに特定するか
まず第一に、最新鋭のGANsが集められ、改ざんされたリアル画像のペアが生成された。
次に、当の対照画像を用いて、改ざん画像に共通する特徴ネットワーク(CFFN)に偽と真の画像の差異判別特徴量学習させた。
最後に、より小さなネットワークを CFFNに連結し、インプットされた画像の特徴量が偽のものか真のものかの判別実験に利用された。
開発された特定器、最高性能を発揮
実験の結果、当のメソッドは、従来の最新鋭の改ざん画像特定器の性能を圧倒的に上回った。
研究紹介は以上だ。
技術には常に二面性が伴う。善意と悪意の戦いはこれからも続く。
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この記事で取り扱った論文:
Chih-Chung Hsu, Yi-Xiu Zhuang, and Chia-Yen Lee,”Deep Fake Image Detection based on Pairwise Learning”, Version 1 : Received: 30 April 2019 / Approved: 5 May 2019 / Online: 5 May 2019 (11:13:55 CEST)- DOI
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