次回の更新記事:LLMの回答における「自信ありげな度合い」と「実際の…(公開予定日:2025年06月23日)



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グラッドキューブの事業報告から学ぶAIビジネス動向とスキルとキャリア

   

本記事では、グラッドキューブの最新決算資料をもとに、同社が展開するAI戦略や事業の方向性を読み解きながら、人材に求められる視点を整理していきます。

自身のスキルやキャリアをどう活かしていくかを考えるヒントになれば幸いです。

なお本記事は、AI関連事業を行う企業とAIスキルを持つ人材をつなぐスカウト型マッチングサービス「AIDB HR」の連載企画の一環としてお届けしています。ご関心をお持ちいただけた際には、サービスページにもぜひお立ち寄りください。

AIやデジタルマーケティングをめぐるビジネス環境は、変化のスピードをさらに増しています。こうした中でグラッドキューブは、生成AIの活用や独自アルゴリズムの開発を軸に、新たな付加価値の創出に取り組んでいます。

2025年12月期第1四半期決算では、全体売上は横ばいながらも、主力のマーケティングDX事業が堅調に成長を続けています。自社開発のSaaSやAI解析エンジンの導入実績も積み重なり、技術開発と事業推進の両立が進んでいる様子がうかがえます。今後の展開とともに、人材面でどのようなスキルが重視されるかも見えてきます。

参照情報:株式会社グラッドキューブ 決算説明資料(2025年12月期 第1四半期)

具体例から探るグラッドキューブのAI戦略

グラッドキューブは現在、スポーツデータ解析、Webマーケティング支援、動画生成といった複数の領域でAI技術を活用しながら、新たな価値の創出に取り組んでいます。最新の決算資料では、特にスポーツ領域の「SPAIA」やSaaS型ツール「SiTest」、そして縦型動画変換ツール「バーティカルAI(Dra Vis)」といった事業が、計画を上回る進捗を見せています。それぞれの取り組みから、グラッドキューブのAI戦略の実際を見ていきましょう。

スポーツAIプラットフォーム「SPAIA」

SPAIAは、競馬やカーリングといったスポーツデータを収集・解析し、ユーザーに提供するAI搭載のスポーツメディアです。中央・地方競馬の情報を軸に、SPAIAのウェブサイトやアプリで予測や分析結果を配信しています。また、MBSラジオや「スポーツナビ」などの外部メディアへのデータ提供も積極的に行い、ユーザー接点の拡大に取り組んでいます。

2025年12月期第1四半期の決算では、SPAIA関連の売上が計画比で26.4%上振れするなど、テクノロジー事業の中核として順調な滑り出しを見せました。2月には米国競馬市場への参入準備も発表されており、今後はアメリカ、オーストラリア、香港など複数国での展開を視野に入れた動きも加速しています。AIによる予測精度とデータ提供能力を高めることで、国内外を問わず事業拡大の基盤を築こうとしています。

SPAIAの事業モデルを整理

SaaS型Webサイト分析・改善ツール「SiTest」

SiTestは、Webサイトのユーザー行動を分析し、改善提案まで行えるSaaS型ツールです。グラッドキューブが長年培ってきたマーケティング支援のノウハウをもとに開発されており、大手広告代理店や上場企業などでも導入が進んでいます。

第1四半期の決算では、SiTestを含むマーケティングDX事業が計画比で11.5%増となり、堅調な成長が確認されました。4月にはノーコードで使える新たな動画ウィジェット機能が追加され、ツールの使い勝手もさらに向上しています。現時点でAI活用の詳細な実装は公開されていませんが、将来的には生成AIを用いたユーザー行動の深掘りや、自動レポート作成、パーソナライズされた改善提案の実現が期待されています。

縦型動画AI変換ツール「バーティカルAI(Dra Vis)」

スマートフォンを主戦場とする縦型動画市場に向けて、グラッドキューブは2024年に新たなサービス「Dra Vis」をリリースしました。このツールでは、AIを活用して既存の動画を縦型ショートフォーマットに自動変換し、広告やコンテンツとして展開しやすくする仕組みが整えられています。

世界的に8兆円規模とも言われる縦型動画市場に対応するため、Dra Visでは制作時間やコストの大幅な削減を目指しています。さらに、ベクトルグループとの業務提携により、大手企業からの受託案件も増加傾向にあり、AI技術を活用したクリエイティブ制作が新たな収益源として立ち上がりつつあります。

グラッドキューブの事例から考えるAI事業のポイント

グラッドキューブのAI関連事業は、スポーツデータ分析、Webサイトの改善支援、縦型動画の生成など、さまざまな分野で展開されています。こうした動きを見ていくと、AI企業が成長していくうえで、共通して見られる特徴がいくつか浮かび上がってきます。

得意分野を起点に、技術を活かす

まず目に留まるのは、自社の得意分野とAIをうまくかけ合わせている点です。SPAIAではスポーツデータへの知見、SiTestではWeb改善のノウハウ、Dra Visではマーケティング領域での動画活用といったように、もともとの強みを土台にしているからこそ、AI技術の導入にも自然な流れがあります。ただ新しいことを始めるのではなく、すでに築いてきたものと組み合わせる工夫が随所に見られます。

市場の見極めと、柔らかな応答力

次に感じられるのは、ターゲットとする市場の選び方に無理がないことです。公営競技や縦型動画といった成長が続く領域を狙い、そのなかでAIをどう役立てるかを考えている姿勢が伝わってきます。最近は海外のスポーツベッティング市場への展開も見据えており、ニーズの変化や新たなチャンスに丁寧に応えていこうとする姿勢がうかがえます。

また、サービス運営のなかで日々蓄積されるデータをしっかり活用している点も印象的です。SPAIAやSiTestでは、ユーザー行動をもとに改善を重ねており、それが営業損失の縮小といった経営面の変化にもつながっています。

他者との連携や、新技術への目配り

外部との連携もグラッドキューブの強みのひとつです。メディアや広告代理店、大手企業グループとの提携など、事業を広げていくうえでの協力関係をしっかり築いています。自社だけでは難しい領域にも踏み込むことができています。

さらに、新しい技術やトレンドへの対応も早く、生成AIやWeb3といったテーマにも柔軟に取り組んでいます。たとえば、Dra Visのように縦型動画市場への対応をスピーディに進めている点は、今後の展開にも広がりを感じさせます。

こうして見ていくと、グラッドキューブの取り組みには、AI企業としての技術力だけでなく、現場とのつながり、市場との対話、外部との協働といった要素がバランスよく組み込まれています。こうした柔軟で地に足のついた姿勢が、これからAI分野で歩みを進めていく企業にとっても、大きなヒントになりそうです。

求められる人材像とは

グラッドキューブのAI戦略と、それを支える取り組みを見ていくと、今後のAI業界で求められる人材像が少しずつ浮かび上がってきます。実際、2025年12月期第1四半期の決算では、主力サービスであるSPAIAが計画を大きく上回る成長を見せ、SiTestやDra Visといった他のプロダクトも着実に進展しています。こうした背景から、どのようなスキルや視点を持った人材が、これからの現場で求められていくのかを整理してみます。

ビジネスと技術の橋渡しができる人

まず挙げられるのは、AIを活用して現実の課題を解決する力を持った人です。たとえば、SPAIAの新機能開発や、SiTestへの新たな動画機能の追加、さらに顧客ごとの課題に応じたDX開発など、実際の現場では「AIをどう活かすか」を考えながら進める場面が多くなっています。こうした場では、技術の知識に加えて、顧客の立場を理解する力や、プロジェクトを整理して動かす力も欠かせません。プロダクトマネージャーやプロジェクトマネージャーといった役割が、より重要になってきているのもその表れかもしれません。

市場の変化を見つめ、先を描ける人

次に、技術の可能性をいち早く見つけ出し、それをもとに新しいビジネスの芽を育てていける人も、ますます求められています。たとえば、グラッドキューブが手がける縦型動画生成ツール「Dra Vis」や、米国をはじめとした海外のスポーツベッティング市場への展開準備など、先を見据えた動きはどれも、市場をよく観察しながらタイミングを見て動いている印象があります。こうした動きを支えるのは、アイデアを形にしていく企画力と、それを伝えて協力を得る力の両方です。

技術を価値に変えるエンジニア

そしてもちろん、実際にAIの技術を形にしていくエンジニアの力も欠かせません。SPAIAでは競馬の予測モデル開発、Dra Visでは動画変換アルゴリズムの実装、今後予定されているSiTestへのAI機能の拡張など、具体的な実装の場面は多岐にわたります。プログラミングや機械学習のスキルに加え、クラウド環境での運用経験や、チームで動く際のコミュニケーション力も求められます。大手企業との共同開発や生成AIに関する取り組みも増えており、技術者の活躍の場は広がってきています。

今のAI業界では、「技術を知っている」だけではなく、「どう使うか」「誰の役に立つか」を考える姿勢がより大切になってきています。グラッドキューブの事例は、そのような人材がチームのなかで役割を持ちながら活躍している様子を具体的に示してくれています。これからの時代を見据えるうえでも、参考になる点が多いのではないでしょうか。

キャリアを築くために考えておきたいこと

AI業界で働くことを考えたとき、どのような立ち位置で関わっていきたいのかを少し立ち止まって考えてみることが大切です。グラッドキューブのように、AIを活用したさまざまなサービスを展開している企業の動きを見ていると、求められる役割も多様化してきていることが分かります。2025年12月期第1四半期の決算では、SPAIAやSiTest、Dra Visといった各プロダクトが計画を上回る形で進捗しており、それぞれの分野で異なる人材が活躍している様子がうかがえます。

たとえば、顧客の課題を丁寧に汲み取り、AIを用いた解決策を考えていくような「課題解決型」の役割があります。業界特化のプロジェクトに参加したり、顧客とのやり取りを通じて現場の声を理解したりと、ビジネスに寄り添った視点を持つことが大切です。

一方で、技術や市場の変化に敏感で、新しい領域に可能性を見出していく「市場トレンド型」の役割もあります。たとえば、グラッドキューブが取り組んでいる縦型動画や海外市場向けサービスのように、動きの早い分野で事業を形にしていく経験は、今後のキャリアにもつながるはずです。

また、AIの技術をかたちにして届ける「技術価値創出型」のような関わり方もあります。実際のプロダクト開発に携わるなかで、機械学習やデータ処理のスキルを磨きながら、サービスの成長に貢献することができます。SiTestへのAI機能追加やDra Visでの変換アルゴリズム開発など、現場ではこうした役割を担う方が欠かせません。

どの道を選ぶかは人それぞれですが、自分の関心や強みに応じて少しずつ方向性を定めていくことが、結果として自分の価値を高めることにつながっていくのだと思います。焦らず、着実に経験を重ねていく姿勢が、AI分野でのキャリア形成にはとても大切なのではないでしょうか。

採用担当者の視点

グラッドキューブのような企業でAI人材を採用する際には、技術力の有無だけでなく、その方がどれだけ会社の考え方や方向性に共感しているかといった点も、大切な判断材料になるのではないかと思われます。実際、最新の決算資料などでも、ミッション・ビジョン・バリューが繰り返し示されており、企業として何を大切にしているのかが丁寧に伝えられています。

また、同社では「スポーツナビ」や「MBSラジオ」との連携、「Dra Vis」におけるベクトルグループとの共同展開など、社外との協力も積極的に進めています。こうした環境では、社内外のさまざまな立場の方と誠実に向き合い、協力しながら物事を進めていく姿勢が、より一層求められてくるのではないでしょうか。

さらに、2025年12月期第1四半期の決算では、営業損失が1,600万円まで縮小するなど、事業の効率化にも注力している様子が見受けられます。このような背景を踏まえると、リソースを意識しながら丁寧に取り組める姿勢や、無理のない形で成果を積み重ねていく意識も、今後いっそう重視されていくのかもしれません。

AI分野で働くにあたって、こうした企業の視点に少しでも寄り添って考えてみることが、結果的に自分自身の成長にもつながっていくのではないかと思います。

まとめ

本記事では、グラッドキューブの最新決算資料をもとに、同社のAI戦略や事業の広がり、そしてそれを支える人材像について整理してきました。

マーケティング支援やスポーツデータ解析、縦型動画といった成長分野において、グラッドキューブは既存の強みを活かしながら、AI技術を取り入れた新たな展開を進めています。データに基づく意思決定や、外部との協業を積極的に進めている点も印象的でした。

そこから見えてきたのは、今後AI業界で求められる人材像が、技術力に加えて、課題解決力や市場への感度、他者と協働する力をバランスよく備えた存在になりつつあることです。AIを「使えること」だけでなく、「どう活かすか」に目を向ける視点が、ますます重要になっていくのかもしれません。

キャリア形成を考えるうえでも、こうした先進的な企業の取り組みを参考にしながら、自分なりの方向性を少しずつ見つけていくことが、これからの時代には大切になっていきそうです。

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