精神病患者は間違った推定をしてしまう?計算モデルで定量化!(AI×医療)【論文】

   

最終更新日:2020/03/09

(Featured AI and healthcare) Will psychiatric patients make wrong estimates? Quantify with calculation models! (Publication)

[論文] A Bayesian Account of Psychopathy: A Model of Lacks Remorse and Self-Aggrandizing”. Computational Psychiatry, 2, 92-140 (2018). [DOI: 10.1162/cpsy_a_00016]

3つの要点

✔️精神病特性を調べるための、認知的療法と心理力学的療法を統合するモデルを、この論文では提案している。

✔️自責の欠如や誇大な自尊心は、不適切なベイズ推定を引き起こしてしまうことがある、ということがモデルによって示された。

✔️本論文で示したモデルは、精神病における新たなアプローチや治療法の確立への貢献が期待される。

概説

この論文では、自責の欠如や誇大な自尊心といった2つの主要な精神病的特性が、自己についての異常なベイズ推定の形式としてどのように表されるかを示すために、精神病の認知的・心理力学的な心理療法モデルを統合するモデルを提案する。

このモデルは、予測符号化(すなわち能動的推論)フレームワーク、つまり、階層的ベイズ推定に関して形式化された脳内を通過するメッセージについて、神経生物学的にもっとも適した説明的フレームワークを利用する。

要約すると、このモデルは、2つの主要な精神病的特性が、自己についての非常にゆがんだベイズ推定を反映することを示唆しており、それは自己に関する根深い否定的感情、特に恥と無価値の経験から自身を守っている。

精神病の神経生物学に関する既存の研究におけるモデルの補助および定量的シミュレーションが提供されている。

最後に、我々のベイズの定式化に基づく精神病の新しい治療法の予備的な概観を説明する。

(A)自責の欠如と自尊のベイジアンモデル。
(B)自尊心が強すぎると、自意識過剰な考えが強くなり、恥や無価値という感情があっても肯定的な事後的期待を膨らませてしまう。
(C)自責の欠如が大きいと、恥と無価値の意識的経験を避けるようになり、これは社会的には不適切な行動であるにも関わらず、自己については中立的な事後的期待をする。
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この図は、金銭的ではないが素晴らしいという事前の予想から始まる16の選択肢のシミュレーション中に、尤度精度(α)と遷移精度(β)を変更した場合の効果を示したものである。これは、αおよびβの異なる組み合わせを有する合成対象について行われた。これらの影響は、慈善事業についての事後的な予想(左の画像)と、保持されている富の全体量(右の画像)の観点から示されている。自己の価値は一般的に富の蓄積を高めるパラメータの場合は低くなるが、非常に低いαと高いβ(各プロットの左上隅)を持つ合成エージェントは、慈善的な行動にもかかわらず自己価値の高い期待値を持つ。
精神病的な特徴を持つ仮説の患者の発達の軌跡は赤で示した。(利他的な)右下隅から始めて、αは最初は減少し、外部の承認の源は自己についての信念から切り離される。この軌跡は、より大きな金銭的利益を生み出すが、より低い自己価値を生み出す行動をもたらす。続いてβを増加させることによって、決定が自己価値に与える影響が減少し、決定が信念から切り離され、不当に自己価値を危うくしない慈善行為がもたらされる。

著者

Aaron Prosser (Michael G. DeGroote School of Medicine, McMaster University, Hamilton, Canada)
email: aaron.prosser@medportal.ca

Karl J. Friston (Wellcome Trust Centre for Neuroimaging, Institute of Neurology, University College London, London, UK)

Nathan Bakker (Department of Psychiatry, University of Toronto, Toronto, Canada)

Thomas Parr (Wellcome Trust Centre for Neuroimaging, Institute of Neurology, University College London, London, UK)

出版情報

Published: 11 October 2018

© 2018 Massachusetts Institute of Technology Published under a Creative Commons Attribution 4.0 International (CC BY 4.0) license

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