人が読めない幻の楽譜
日本人にとってのクリスマスといえば、サンタクロース、プレゼント、そして「リア充爆発しろ」である。礼拝やミサに参加して、聖歌を歌いながらキリストの誕生日を祝うような、本来の祝い方をするのはキリスト教徒だけである。
しかし、歴史的にみると、実はクリスマスやキリスト教の各種儀式の執り行い方にはさまざまなバリエーションがあったと言われている。こうして考えると、日本独自のクリスマスの過ごし方も、数あるバリエーションの1つだと言えるのかもしれない。
たとえば、イベリア半島と南フランスでは、グレゴリオ聖歌を伴うローマの儀式が確立されるより前の6世紀から11世紀までの間、独自の聖歌の伝統をもつモサラベ儀式が大多数を占めていた。
モザラベ儀式の全容を知るのは容易ではない。その理由の1つは、モザラベ儀式の聖歌のほとんどは、読みやすい記法で保存されていないためだ。正確な音高が明示されておらず、メロディの輪郭のみを指定するディアステマティックネウマ(音程的記譜法、旋律の音高の動きを図形的に表した記号)を使用する手書きの楽譜のみが存在している。
スペインのバスク大学のDarrell Conklinと、オランダのGeert Maessenは、モザラベ儀式の聖歌のメロディは永久に失われつつあるという課題に着目し、 計算論的機械学習や統計的なシーケンス生成法を使用して、 モザラベ儀式の聖歌のメロディの再現を試みた。
モザラベ儀式の失われた聖歌のためのメロディー生成
Darrell Conklinらの研究のポイントは以下の通りだ。
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