心療内科の予約が数カ月先まで埋まっている、という話を聞いたことがある人は少なくないはずです。カウンセラーの数は足りていません。そこでAIに任せられないか、という研究が進んでいますが、今のAIカウンセラーには根本的な弱点があります。一度学習を終えたら、そこから先は成長しません。

人間のカウンセラーを思い浮かべてみてください。教科書だけでは一人前にはなれません。何百回ものセッションを重ね、うまくいった対応、失敗した対応を振り返りながら、「臨床的な勘」を少しずつ磨いていく。この成長サイクルを、AIにも回せないか。本記事では、その仕組みを具体的に解き明かしていきます。あるクライアントとの対話のなかで、AIが自ら新しいカウンセリング技法を抽出し、次のセッションで使いこなす。そんな場面が、実験のなかですでに生まれています。
今のAIカウンセラーに足りないもの
AIを使ったカウンセリング支援の研究は、ここ数年で急速に増えました。共感的な受け答えを学んだモデル、認知行動療法の手順を組み込んだシステム、ベテランセラピストの話し方を真似る「デジタルツイン」など、やり方はいろいろ出てきています。