LLM導入で変わる「AIOps」
運用現場でのLLMの活用が進み、AIOpsのあり方も少しずつ変わりつつあります。
これまでのように異常を検知して分類するだけでなく、レポートの作成や対処の提案など、より人に近い作業を担う場面が増えています。
本記事では、LLMの導入によって広がるAIOpsの応用範囲と、評価方法の変化について紹介します。
実際の導入に向けたヒントとしてお役立ていただければと思います。

背景
AIOpsという言葉は、機械学習の活用が注目され始めたころに登場しました。IT運用の現場で発生する障害の検出や原因の特定、対応の自動化などを支援する技術のことです。もともとはログやメトリクスのパターンを分析して異常を見つけるような仕組みが中心でしたが、LLMの登場によって、AIOpsのあり方そのものが変わり始めています。
現在のソフトウェアは、世界中の何十億人ものユーザーに向けてサービスを提供する大規模なシステムとして作られることが当たり前になっています。わずかな不具合でもサービス停止やパフォーマンス低下につながり、企業にとっては大きな損失や信用の低下を招くことになります。障害を未然に防ぎ、万が一発生してもすぐに原因を特定して復旧できるようにすることが、日常的に求められています。
ただし、システムの構成や処理の流れが複雑になったことで、障害の検知や診断はますます難しくなっています。大量のログやトレースデータの中から手がかりを探し出す作業には、多くの時間と専門知識が必要です。こうした背景から、AIの力を使って障害対応を支援する取り組みが進んできました。
これまでは、機械学習や深層学習を使って、ログなどから異常の兆候を見つける仕組みが多く使われてきました。しかしいくつかの弱点があります。たとえば、意味のある特徴を取り出すために複雑な前処理や専門的な設計が必要だったり、特定のシステム向けに作られたモデルが他の環境ではうまく動かなかったりといった問題です。また、一つのモデルでは一つのタスクしか扱えず、障害の特定と修復などをまたいで対応することは難しい状況でした。
そうした中で注目されているのがLLMです。自然言語を扱う能力に優れ、ログのような非構造化データでもそのまま読み取り、意味を理解することができます。また、異なるシステム環境にも柔軟に対応し、複数のタスクを統合的に処理することも可能です。
本記事では、こうしたLLMの強みを活かすことでAIOpsの課題をどう乗り越えられるのかを探るために行われた調査を取り上げます。
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