最終更新日:2020/01/14
[論文] C. Capone, E. Pastorelli, B. Golosio, P. S. Paolucci. “Sleep-like slow oscillations improve visual classification through synaptic homeostasis and memory association in a thalamo-cortical model”. Scientific Reports, 9, 8990 (2019). [DOI:10.1038/s41598-019-45525-0]
3つの要点
✔️睡眠の重要性は知られているが、まだ仕組みについて詳しく解明されてはいない
✔️深い眠りのような遅い振動活動を含む視床皮質モデルを作った
✔️視床と皮質との繋がりがある方が画像分類の精度がよかった
概説
睡眠は認知、記憶作業に有益であることが知られている一方で、慢性的な睡眠不足は有害である。
進化のふるいを勝ち残った睡眠の発生は、動物種において広く見られる。
この現象の重要性にもかかわらず、その機能と根底にある仕組みの完全な理解にはまだ至っていない。
本論文では、深い眠りのような遅い振動活動の、エンコードし検索し、手書き数字の画像を分類するために訓練された単純化された視床皮質モデル(図1)に対する興味深い影響を示す。
遅い振動をしている間、スパイクタイミング依存可塑性(STDP)は差分を減らす恒常的な過程を生み出す。
同じクラス(数字)の画像に関連するニューロン群間の結びつきの特異的な教師なし増強と、訓練によって作られたより強いシナプスの同時下方制御の両方によってそれは特徴付けられる(図2、3、4、5、6)。
睡眠後の内部表現のこの階層構造は検索、分類作業においてより高い性能をもつ(図7、8)。
その仕組みは、深い眠りのような遅い振動をしている間の、上から下への皮質‐視床予測と下から上の視床‐皮質投射の間の相互作用から成り立っている。
実際、学習されたパターンが睡眠中に再現されると、皮質と視床と皮質の結合は、その結合を促進するために、同じような視床入力をコードする他のニューロンの活性化を促進する。
このような仕組みは人工学習システムへの応用の可能性を示唆している。
著者
Cristiano Capone (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy)
Elena Pastorelli (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy / PhD Program in Behavioural Neuroscience, “Sapienza” University of Rome, Rome, Italy)
Bruno Golosio (INFN Sezione di Cagliari, Cagliari, Italy)
Pier Stanislao Paolucci (INFN Sezione di Roma, Rome, Italy)
出版情報
Received: 24 January 2019 / Accepted: 3 June 2019 / Published: 20 June 2019
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