LLMは「次の単語」を予測するだけでここまで賢くなった。では人間の脳も同じ仕組みで言語を理解しているのか?
実際に人間の脳活動をMEG+EEGで同時計測した研究が、興味深い答えを出しています。
まず共通点。脳もLLMも、文脈から次の品詞をかなり正確に予測できています。特に名詞は予測しやすく、脳では名詞が聞こえる”前”からすでに予測的な活動が始まっていました。
次に決定的な違い。名詞を聞いたとき、脳は聴覚野だけでなく感覚運動野に整合的な領域まで活性化していました。「リンゴ」と聞けば、触った記憶、見た記憶が呼び起こされるように。なお、動詞ではこのパターンが見られません。
脳の言語予測には「構文的な予測」と「意味的な予測」の二層があり、後者は身体経験に根差している可能性があります。テキストだけで訓練されたLLMには、この「身体に根差した意味の層」が原理的に欠けています。
文法はテキストから学べるけれども、意味の深い理解には現実世界との接点が要るのかもしれない。記号接地問題に対する、脳科学側からの一つの回答です。