こんにちは。エンジニア兼ライターのKenです。
今回から「AI時代のくすり作り」という連載がはじまります。この連載では、新薬開発の現場でどのようにAIが活用されているのかについて、論文を読み解きながら紹介していきます。
第1回目は、「抗菌薬の新規開発」がテーマです。
人力による抗菌薬の新規開発は難しくなってきているのを知っていましたか?
※抗菌薬とは:最近による感染症を防ぐための薬。細胞の増殖を抑える効果を持つもの。
減少する抗菌薬の新規開発
近年、製薬会社の多くは、失敗のリスクが高いなどの理由で抗菌薬の新規開発を積極的に行っていません。しかし、この先も、新型コロナウイルスのような未知のウイルスや細菌が、人間に脅威をもたらすことは十分にあり得ます。新規抗生物質や抗ウイルス薬は、まだまだ必要とされていくことでしょう。
新薬の開発には10年以上の長い時間がかかります。よりリスクヘッジしながら開発を行うためには、開発プロセスの効率化が欠かせません。
抗菌薬開発を効率化する手法としては、コンピュータを用いたシミュレーションによって実験や測定を行う手法(インシリコ)が注目を集めています。しかし、分子構造が多用である物質のスコアリングが難しいなど、課題も多く残されています。
こうした背景のもと、実際どんな研究が行われているのでしょうか。ロシアにあるIBG RASのYan A. Ivanenkovら研究者の発表を紹介します。
彼らは抗菌薬の新規開発における、抗菌活性を示す可能性がある化合物探索の効率化という課題に着目し、化合物の抗菌力を予測するモデルの開発を試みました。
機械学習モデルを用いて、十分な精度で抗菌力を予測することはできるのでしょうか?
機械学習手法を用いた化合物の抗菌力予測
はじめに、Yan A. Ivanenkovらの研究におけるミッション・手法・結果を以下に簡単にまとめておきます。
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