実はどちらも統計学
AI研究と心理学研究とを研究文化の点から比較したDeepMind社のLampinenらの論文を要約してご紹介します(なお当該論文は,米国テキサス大学の心理学者Yarkoniの論文“The generalizability crisis”へのコメンタリー論文です)。
▼論文情報
著者:Lampinen, A. K., Chan, S. C. Y., Santoro, A., & Hill, F. (2021, March 23).
タイトル:Publishing fast and slow: A path toward generalizability in psychology and AI.
URL:DOI
AI研究は,目覚ましい速度で進展しています。新しいアイディアや研究成果はすぐブログやSNS上に投稿され,論文は学術誌に掲載される前にプレプリントとしてarXivなどの論文公開サイトでいち早く公開されます。また,厳しい審査を経るため公開に時間がかかってしまう学術誌よりも,講演録の形で研究成果を残すことのできる学会発表の方を重視している研究者も少なくありません。このような,研究者コミュニティの中でアイディアや成果を迅速に共有する習慣が,今のAI研究全体のスピードを維持する大きな要因になっています。成果を素早く公開して多くの研究者で共有するこうした研究文化を“fast publishing”と呼ぶことが出来ます。
他方で,伝統的な多くの学問分野,例えば心理学には,これほどのスピード感はありません。研究発表の主要な場は学術雑誌であり,投稿した論文がすぐに受理されることはめったになく,査読システムによって何回かの修正や追記が求められるのが普通です。結果,投稿から掲載までに数ヵ月,場合によっては1年ほどかかってしまうこともあります。こうした古くからあるシステムを上記の“fast publishing”と対比して“slow publishing”と呼んでも良いでしょう。
発表スピード
“fast publishing”と“slow publishing”それぞれの特徴をまとめると,以下のようになります。
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