本記事では、主要なLLM事業者6社のプライバシーポリシーを分析した研究を紹介します。

調査は、チャットでやり取りされたデータがどのように扱われているかを中心に行われました。プライバシーポリシーの記載内容や設定の違いを比較することで、利用者が気をつけるべき点が見えてきます。

どのような実態が明らかになったのか、順を追って見ていきます。

背景

LLMを使ううえで、プライバシーに不安を感じる人は少なくありません。現在は複数の企業が高性能なモデルを提供しており、どのサービスを選ぶかは、精度や使い勝手だけでなく、個人データがどう扱われるかといった点も重要な判断材料になります。

とはいえ、各社のプライバシーポリシーは長文かつ専門的な内容で書かれており、すべてに目を通して比較するのは容易ではありません。その結果、多くの人が十分に理解しないままサービスを使い始めているのが現状です。

（LLMの学習データとしてウェブから収集されるデータの扱いについてはしばしば議論になりますが、）ユーザーがチャットで入力する情報の扱いについては、これまで比較的あまり議論が進んでいません。しかし、チャットを通じてどんな情報が収集され、どう利用・共有されるのかは、利用者にとって見過ごせないポイントです。

こうした状況を踏まえ、本記事では主要なLLM関連事業者6社のプライバシーポリシーを読み解き、チャットで収集されるデータの取り扱いについて比較できる形で整理した取り組みを紹介します。各サービスの違いを把握し、自分の利用方針を検討する際の参考となることを目指します。