ある法律事務所で、パラリーガル(法律の補助職)がAIに契約書の下書きを頼んでいる。AIが書いて、人間が直す。一つの作業が自動化されただけで、パラリーガルという仕事自体はなくならない。これまでのAI雇用分析は、だいたいこの前提で動いてきました。
ところが最近のAIエージェントは様子が違います。「このリース契約の問題のある条項を洗い出して、修正案を書いて」とゴールだけ伝えると、判例のリサーチも、引用チェックも、文体の調整も、全部自分でやって完成品を出してくる。作業と作業のあいだをつないでいた「人間の調整役」が、まるごと不要になりかねません。

米国5都市圏の236職種を対象に、この「仕事まるごと置き換えリスク」を数値化した研究があります。安全圏と思われていた金融や法律の専門職が、実はいちばん高いリスク帯にいました。一方で、エージェントAIだからこそ生まれる新しい仕事の芽も見つかっています。どこまでが危険地帯で、どこに新しい陸地があるのか、読み解いていきます。
道具なのか、主体なのか
AIに仕事を奪われるという話は、もう何十年も続いています。そのたびに使われてきた分析手法は、基本的に同じです。仕事を作業に分解して、AIにできる作業がどれくらいあるかを数える。