心理療法に基づく”思いやりある振る舞い”をLLMにさせるプロンプト手法『Chain of Empathy(共感の連鎖)』が考案されました。
以下のようなプロンプトテンプレートを打ち込むことで、共感力の高い話し相手になってくれるとのことです。
@ Yoon Kyung Lee et al., “Chain of Empathy: Enhancing Empathetic Response of Large Language Models Based on Psychotherapy Models”
論文によると、LLMは、客観的な理論などに対しては優れた推論能力を示すものの、感情への共感はまだ改善の余地があると考えられています。
そこで研究者らは、心理療法のセオリーを反映したプロンプト手法『Chain of Empathy:CoE』を開発し、その性能を検証しました。
■Chain of Empathyプロンプトの仕組み
以下のようなステップを教えて共感力を発揮させます。
① 感情の識別をさせる
② 感情への共感をさせる
③ 具体的な問題を探究させる
④ 対話を進行させる
■実行プロンプト例
思いやりある振る舞いを実際に教えるには、以下のようなプロンプトを打ち込みます。
(論文をもとに日本語で具体化したものです。)
ユーザー:
このあとユーザー(私)が話すことに対して、以下の枠組みで対応してください。
1. ユーザーが示している感情はなんですか?
2. その感情はどのような状況や考えから生じていますか?
3. ユーザーが感じている感情に共感し、理解を示してください。
4. ユーザーが抱えている問題や状況をより深く理解するために、質問をしてください。
5. ユーザーが抱える問題に対して、具体的なアドバイスや解決策を提案してください。
※ただし状況によって応用する理論およびテンプレートは変化します。
■CoEプロンプトの参考になっている心理療法理論
Cognitive-Behavioral Therapy(CBT)
Dialectical Behavior Therapy(DBT)
Person-Centered Therapy(PCT)
Reality Therapy(RT)
■性能評価結果
上記の理論のうち、「CBT」に基づくプロンプトは最もバランスの取れた共感的ふるまいを示しました。
ただし「DBT」、「PCT」、「RT」も、それぞれ異なるパフォーマンスを引き出すことができます。
注意点として、実際の効果は使用するLLMの能力と、プロンプト処理の仕組みに依存します。そして、人間レベルの共感を示すとは限りません。
そのため、信頼性が重視されるシーンでの使用は控え、少なくとも現時点では、人間をサポートするツールとして使用することが推奨されます。