LLMと遺伝的アルゴリズムを使用して、個性によって社会集団の行動がどのように変化していくのかを観察する挑戦的な研究が行われました。
人間の意図、好みなど、高次の心理や認知特性を反映させることに成功しています。
名古屋大学の研究者らによる発表です。
@ Reiji Suzuki and Takaya Arita, “An evolutionary model of personality traits related to cooperative behavior using a large language model”
社会集団の行動変化シミュレーションは、様々な用途で有益です。
現在は主に進化ゲーム理論に基づいていますが、人間の高次心理的または認知的特性を直接扱うのは困難だとされてきました。
そこで研究者らはLLMを使用して人格特性を含めたシミュレーションモデルを構築しました。
■シミュレーションモデルのフレームワーク
① 異なる人格特性を持つエージェントモデルを用いる
② 人格特性の例は協力的、自己中心的など
③ エージェントは人格に基づいて協力/欺瞞などの行動をとる
④ 行動はアルゴリズム上の遺伝子として後継される
■実験
① 平均利得に基づく選択と、LLMによる親遺伝子のわずかな修正による突然変異が発生するように設計
② 30体のエージェント、20回の相互作用、10個の遺伝子、突然変異5%、新遺伝子5%、1000世代にわたる進化
■実験結果
① 協力的な行動が初めは優勢であった
② 時間とともに欺瞞的な行動も増加
③ 協力的な人格特性は一定の頻度で維持された
④ 欺瞞的な人格特性は時間とともに増加したが、一定の限界に達した
■研究者らの主な結論
① 進化ゲーム理論だけでなく、人格特性を組み込むことでより現実に近いモデリングが可能
② 遺伝子が行動特性と一致していることが確認された
□実用性の考察
本技術は、例えば企業文化やコミュニティの形成において、どのような人格特性を持つ人々が集まるかによって、その集団の行動や成果がどのように影響を受けるかを考える材料を生成できます。
応用の具体例:
① 社会政策・プログラム設計
② マーケティング
③ 心理学・行動経済学の研究