PII Mask 0.1.0 / 2026年7月測定
評価用に722ラベルのデータセットを自社で作成しました。内訳は、履歴書・診断書・申込書などの定型文書、 CSV・ログ・JSON・契約書といった多形式のデータ、実験ノート・障害報告・共同研究契約などのR&D文書、 および文脈依存の機密情報(実験用)です。外部の公開データセットは使用していません。
採点は2軸で行いました。値を検出できたかと、カテゴリまで正しく判定できたかです。 表記ゆれを吸収するため NFKC 正規化・空白除去・小文字化を行い、検出範囲が正解を含む場合は一致、 正解の一部だけを検出した場合は50%以上を覆っていれば一致としています。
アプリが対象外と明示しているカテゴリ(性別・年齢・続柄など)は分母から除外し、 個人情報として対象となる 589ラベルで採点しました。画像内の情報(OCR経由)は今回の測定範囲外です。
| カテゴリ | 件数 | 値の検出率 | カテゴリ正解 |
|---|---|---|---|
| 氏名 | 100 | 92.0% | 92.0% |
| メールアドレス | 84 | 100% | 96.4% |
| 住所 | 50 | 96.0% | 96.0% |
| 電話番号(固定・携帯含む) | 87 | 100% | 98.9% |
| 生年月日 | 36 | 100% | 100% |
| 会社・団体名 | 25 | 68.0% | — |
| 部署名 | 24 | 12.5% | 4.2% |
| 郵便番号 | 17 | 100% | 64.7% |
| 銀行口座 | 16 | 81.3% | 81.3% |
| マイナンバー | 16 | 87.5% | 87.5% |
| 社員番号 | 15 | 60.0% | 53.3% |
| フリガナ | 12 | 100% | 100% |
| 顧客ID | 11 | 100% | 100% |
| 運転免許証番号 | 10 | 100% | 80.0% |
件数10件以上のカテゴリを抜粋。残る弱点は部署名・文中の組織名・PDF表内のID類に集中しています。
同じ文書・同じ589ラベル・同じ採点ルールで、Microsoft Presidio に日本語 spaCy(ja_core_news_lg)と メール・電話・クレジットカード・IPの各認識器を組み合わせた構成を測定しました。
| 値の検出率 | カテゴリ正解 | |
|---|---|---|
| PII Mask | 85.4% | 80.3% |
| Presidio + ja_core_news_lg | 65.0% | 55.5% |
| 差 | +20.4pt | +24.8pt |
差が開いたのは日本特有のID・帳票類です。マイナンバー43.8%、運転免許証番号0%、社員番号26.7%、 住所54.0%(PII Mask は96.0%)でした。一方、氏名は 92.0% で同率、 メールアドレス98.8%、生年月日97.2%と、汎用的な項目では Presidio も高い精度を示しています。
公平性について: このデータセットは PII Mask の改善に2回使用しており、 その分こちらに有利です。ただし入力文書・採点ルール・対象ラベルは完全に同一です。
PII Mask は任意で軽量な言語モデルを追加できます(モデルも端末内で動作します)。 R&D文書セット84ラベルで比較しました。
| 構成 | 値の検出率 | カテゴリ正解 |
|---|---|---|
| パターン + GiNZA のみ | 96.4% | 92.9% |
| + TinySwallow-1.5B | 97.6% | 94.0% |
| + Gemma-2-2B | 97.6% | 94.0% |
上乗せは主に文中の人名・組織名で得られました。処理時間と引き換えになるため、 精度を優先する場合の選択肢としてお考えください。
お気づきの点はフィードバックフォームからお知らせください。 検出できなかった情報の種類と形式を教えていただけると、改善に直結します。