5つの異なる役割を持つエージェントが力を合わせることで、データ収集が難しいペルソナをリアルに再現することに成功したという報告。
今回は「肥満で、うつ病や不安障害などのメンタル問題も抱える患者」がテーマ。
流れとしては、
①実データから患者の骨格を作る
②詳細な医療記録に仕上げる
③医学論文の知見を織り込んで肉付け
④矛盾がないか監査
⑤問題を修正する
このように仮想的な患者を一人ひとり作り出す仕組みです。
この結果、体重や血液検査の値だけでなく、性格傾向や感情パターン、生活習慣、治療への取り組み姿勢まで含んだ、多面的な仮想患者が出来上がります。
おもしろいのが、GPT-5とClaude 4.5 Sonnetをこの仕組みのベースモデルにした場合の全体品質はほぼ互角でしたが、得意分野がきれいに分かれていたそうです。
GPT-5は病歴や治療計画の時系列的な整合性に強く、Claudeは心理描写や生活習慣の描き分けに長けていました。
さらにClaudeが生み出す患者群は一人ひとりの個性がはっきりと異なっており、同じ病気の組み合わせでも画一的にならないという強みを見せました。
なお、DeepSeek-R1は、患者の「今の状態」を描写する能力だけは全モデル中トップだったという意外な結果も出ています。
現実の医療データは断片的で偏りがあり、プライバシーの制約もあるため、こうした複雑な患者像を十分に研究することが難しい。
そんな中こうした研究は、現実世界では集めにくい複雑な患者データの不足を、AIの協調作業で補う可能性を示したものといえそうです。
📄 参照論文
SynthAgent: A Multi-Agent LLM Framework for Realistic Patient Simulation — A Case Study in Obesity with Mental Health Comorbidities
所属: Klick Health