LLMは、多様な専門的タスクで人間レベルのパフォーマンスを達成し、特筆すべき能力を示しています。しかし、最先端のLLMへのアクセシビリティには、課題があります。つまり、せっかく優れたツールなのに、手が届きにくい・とっつきづらいといった状況があります。
そこでNomic AIの研究チームは、『GPT4All』という取り組みを通して、この問題に対する解決策を提供しようとしています。
本記事では、『GPT4All』の背景、主要な特徴、インストール方法、利用可能なモデル、さらに研究者向けの補足情報まで、プロジェクトの全貌を詳しく紹介します。なお今回は思想やポリシーの強いプロダクトと研究を紹介する記事となりますが、AIDBは中立的な立場で業界の動向をお伝えするメディアです。
参照論文情報
- タイトル:GPT4All: An Ecosystem of Open Source Compressed Language Models
- 著者:Yuvanesh Anand, Zach Nussbaum, Adam Treat, Aaron Miller, Richard Guo, Ben Schmidt, GPT4All Community, Brandon Duderstadt, Andriy Mulyar
- 所属:Nomic AI
- URL:https://doi.org/10.48550/arXiv.2311.04931
- GitHub:https://github.com/nomic-ai/gpt4all
- ダウンロード:https://gpt4all.io/index.html
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背景
大規模言語モデルへのアクセス問題
※以下の情報は本論文執筆時点での研究者らによる記述に基づいています。
2023年3月14日、OpenAIはGPT-4をリリースしました。専門的、学術的なタスクで人間レベルのパフォーマンスを達成する大規模言語モデル(LLM)です。しかし、GPT-4のアーキテクチャ、ハードウェア、データセット構築、訓練方法に関する詳細情報はほとんど開示されていません。
GPT-4は、インターネットインターフェースを通してのみアクセス可能であり、ポリシーは厳しく制限され、またいくつかの地域では地政学的な問題などから利用できないといった状況が生まれています。加えて、GPT-4は特定のクエリに対して「AI言語モデルとしては回答できない」という形式でしか応答しません。
以上の状況から、一部からは透明性とアクセシビリティに関する懸念や不満が生じています。
オープンソースへの動き
これらの問題に対処するため、複数の開発者たちはオープンソースのLLMの代替案を開発し始めました。例えばMetaの「LLaMA」は、高機能なLLMを開発者たちにオープンに提供する画期的な取り組みです。今回紹介する『GPT4All』は、こういったオープンソースLLMの促進を加速する試みの一つとして始まりました。
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『GPT4All』のポイント
1. ローカル動作とアクセシビリティ
『GPT4All』は完全にローカルで動作するオープンソースのLLMのインタフェースです。ユーザーは特別なハードウェア(GPUなど)やインターネット接続を必要とせず、一般的な消費者向けコンピューターでLLMを使用できます。従来のLLMが高コストのインフラや地域制限、検閲によりアクセシビリティが制限されていた問題に対応する取り組みです。
2. プライバシー保護
GPT4Allは、ユーザーのチャットデータを第三者と共有せず、個人のプライバシーを尊重します。ユーザーは自身のデータに関する懸念なく、LLMを利用することが可能です。
3. モデルの多様性とカスタマイズ
GPT4Allは、GPT-JやLLaMA、Replitなど、35種類以上のモデルをサポートしています。ユーザーは、それらのモデルを、異なるニーズや用途に合わせてカスタマイズ可能です。特定の要件に合わせた最適なモデルを選択または改造できます。
4. 高レベルAPIとノーコードGUI
GPT4Allは、Python、TypeScript、Go、C#、Javaなど複数のプログラミング言語での高いレベルのAPIを提供しています。また重要な特徴として、コーディングスキルがないユーザーでもノーコードGUIを通じて容易にモデルを実験し、使用することができます。こういった特徴がGPT4Allを人気たらしめています。
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簡単なインストール方法と使い方
『GPT4All』の使用を始めるには、以下のステップを辿ってみてください。
1. ダウンロード
『GPT4All』は、公式ウェブサイトまたはGPT4AllのGitHubページからダウンロードできます。
2. インストール
ダウンロードしたファイルを開き、インストーラーを起動して『GPT4All』をセットアップします。
3. モデルの選択とインポート
利用可能なモデル(GPT-J、LLaMA、Replitなど)から選択し、アプリにインポートします。
モデルは実行時にRAMにロードされるため、システムのメモリ容量を事前に確認してください。
4. チャットの開始
インポートが完了したらチャットを開始します。
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使用可能なモデル
文献とソフトの情報をもとに、GPT4ALLで使用できるLLMを紹介します。
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